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 古処誠二 の記事一覧
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『敵影』 古処誠二 新潮社 
2007.08.15.Wed / 18:20 
敵影

敵影
古処誠二
新潮社 2007-07-27


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  ★★★★☆

 物語は、昭和20年8月14日、沖縄の捕虜収容所で二人の人間を血眼で探している男の話。捜しているという一人は、命の恩人である女学生の高洲ミヨ。もう一人は、ミヨを死に追いやったと思われる阿賀野という男である。主人公は、腹に被弾して腸がはみ出し生死をさまよっていたところを陸軍病院に担ぎ込まれて一命を取り留める。その病院で散々ミヨに世話になり、また病院撤退のときにもミヨの機転で助けてもらう。執念の調査でしだいにミヨの消息がわかっていくが、同時に阿賀野の意外な正体も明らかになっていく。

 無駄な描写は一切なく、淡々と語っていく文章の硬さは相変わらず。読めない漢字も多く、ここまで読者を意識していない作者もいないだろうと思えるくらいエンターテイメントから程遠い。それなのにときたま出てくる熱い描写にやられてしまうのである。たとえば、主人公が被弾したとき、あるいは病院撤退時の描写である。そしてこの身のうちに湧き上がる熱さこそが、古処の作品を読みたいと切実に思う気持ちなのだ。知りたい。ただそれだけのことである。

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『遮断』 古処誠二 新潮社 
2006.01.10.Tue / 23:01 
遮断遮断
(2005/12/20)
古処 誠二

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  ★★★★★

 古処誠二の新刊と聞けば、何をさて置いても真っ先に読みたくなります。最近は戦争ものばかり出していますから、またかと躊躇される方も多いかもしれませんが、戦争体験がない者にとっては意味があると思いますし、心がきりきりと痛くなってくるような小説を読むのは案外楽しい読書と言えるのではないでしょうか。

 今回は作品自体は地味と申しますか、巧い構成力は別として、物語的にはそれほど起伏がありません。ですが、相変わらず無駄を削ぎ落とした文章は、美しく、胸にずしんとくる心理描写は、心地よい緊張感を伴っています。およそ200頁の物語でしたが、一語一語を確かめるようにして読んでいったせいか読了までに随分時間がかかってしまいました。それ程この作品の中に描かれている世界は、誰の心にもある奥底に沈んでいる気持ちを抉り出してくれるものだと思います。

 舞台は、昭和20年5月の沖縄戦です。話としては、逃亡兵の青年が防空壕に置き去りにされた乳呑児を探しに、母親と一緒に再び激しい戦火の中に戻って行くというものです。

 沖縄戦は、太平洋戦争末期に民間人を巻き込んだ戦争としては、国内最大の地上戦であったのですから、その真っ只中で行われる行動というものが、どれほど無謀で愚かな行為なのかは誰の目にも明らかです。その極限状況のなかで、生きているかどうかわからない4ヶ月の乳呑児を探しにいくことは自殺行為です。派手な戦争の描写はないのですが、淡々と書かれた文章から漂うやるせなさはあくまで静かであるため、より一層胸に響いてきます。主人公の青年と、彼に負ぶわれた片手片足の少尉との会話は、読んでいると、なんとも言えない寂寥感が胸に込み上げてきます。戦争に対する考えから、果ては己の生き様まで、色々なことが駆け巡ります。

 ちょっと衝撃的なラストシーンも良かったです。救いがあって、温かい気持ちにはなりました。最後の主人公の気持ちには切なくなってきましたね。

 多くの方に手にとって欲しい作品です。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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