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 真梨幸子 の記事一覧
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『クロク、ヌレ!』 真梨幸子 講談社 
2008.11.13.Thu / 04:05 
クロク、ヌレ!クロク、ヌレ!
(2008/09/05)
真梨 幸子

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 表紙カバーが白地に黒の変わった装丁をしていたので、デビュー当時からのイメージからして、ドロドロした愛憎劇を想像していたが、まったく違っていた。結局ミステリになっていて残念だったが、テーマは崖っぷちに立たされた女たちの、意地と誇りと執念を、カラッとコミカルな語り口で風刺したものだった。と、思う。

 バブル期に総合職で採用されたものの今やお荷物となってしまったバブル女や、就職氷河期に当たったために派遣としてしか採用されなかった彼女たちが、怒って嘆くのだ。お互い本音でぶちまけて、転落人生にはなるもんかと熱弁を振るうのである。ただし、出てくる者が揃いも揃ってへたれなせいか事態は思いもよらぬほうへ走り出し、ついにはなぜかミステリーのほうへいってしまうんである。

 死んだ大物小説家が出てきて、自分は車椅子ごとプールに突き落とされたんだと思う、とか、エキセントリックな自称画家に至っては、あれこれぐちゃぐちゃと手紙を書いては弟に金の無心をするし、かと思うと、弟の嫁と殴り合いの喧嘩をしたり、挙句の果てに目玉をくり抜いて大物小説家に送りつけたり、と。まあ、ちょっといっちゃってる人たちが毒を吐きながら右往左往して、ついには、わけのわからぬモノになっちゃった、ということである。ああ、勿体無い。でもとても楽しかった。

 お薦め。
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『深く深く、砂に埋めて』 真梨幸子 講談社 
2007.10.31.Wed / 10:30 
深く深く、砂に埋めて深く深く、砂に埋めて
(2007/10/16)
真梨 幸子

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  ★★★★★

 傑作。

 甘く切なくはらはらと、心に深く深く落ちてゆくような話だった。

 出だしは緩やかに、ラストは感動的に、一人の自由奔放に生きた女の話が始まる。それは、幼いときより自身の美貌と引き換えに男を手玉に取ってきた娼婦のような女の話である。言ってみれば「ファム・ファタール」である。「運命の女」であり、「男たちを破滅させる女」だ。

 殺人罪に問われた恋人を残して渡仏した女に、いつのまにやら魅せられていった男性が三年前に遡って語ってゆくのである。彼の手記によって次第に輪郭をなしてゆくその話は、彼女の誕生秘話から始まり、いかに幼いときから「魔性の女」と言われ続けてきたのか、まず母親の口から語られるのだった。幼少の頃より感情の赴くまま自分の欲求を満たすことだけを考えた彼女は、娼婦の真似事をし、平気で恋人を裏切り、果ては詐欺と殺人にまで関与していたのではないかと疑われてしまうのである。そのさまを、母親から始まって、恋人、友人知人が語ってゆくのである。

 男は淡々と、しかしあるときは熱情に駆られて思い悩み煩悶し、またその意気込みが空回りすることもあった。だが決して急がず、あくまでも冷静に、有名な小説「マノン・レスコー」を下書きにして、真梨幸子のロマンス・ノワール小説が幕を開けたのだった。

 お薦め。
『女ともだち』 真梨幸子 講談社 
2006.07.20.Thu / 10:56 
女ともだち女ともだち
(2006/06/23)
真梨 幸子

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  ★★★★☆

 東電OL殺人事件を彷彿される展開。桐野夏生のようなドロドロとした感情の垂れ流しが面白いインタビュー形式。女性ライターの取材と記事によって事件の全貌があらわになっていく様は非常に面白かったです。二転三転していく話も、ミステリーだと思えば面白いと思うことこそあれ、不満はなかった。ところが、「なんだ、そういうオチか」と、最後のどんでん返しで白けてしまった。

 ミステリー小説のための彩りとしか思えないような脚色は、女たちのドロドロした心のうちを楽しみにしてきた者にとってはかなり無理がありますし、どうでもいいことでした。話の流れからして少々強引過ぎたようです。身の回りにあるのだけど、ちょっと度を越した感情を読んでいたつもりが、もっと特殊な事情といったことになってくると、感情面で寄り添うことが出来なくなってしまうし、宙吊り状態になってしまう。興味深いテーマなので、これはこれで別のところで読みたいですね。

 といったところで、テーマも良い、出だしのインパクトも素晴らしい、キャラも立っているし、なにより負の心理描写がとことん巧い。なのに、これがいつも最後までもたないのは、ひとえに構成力に問題があるとしか思えない。だから、嫉妬や競争心やコンプレックスといった誰もが持っている負の感情をさらけ出して、それをミステリー仕立てとしてくれたのは評価できるのだが、その処理の仕方に問題があるため、非常に面白くなりそうな話が、単に怖くて気色の悪い話になってしまうのである。まったく勿体ない話である。

 結局、誰が悪かったのか。所詮、女ともだちというのは、夢物語なのであろうか。

 と、散々なことを言ってきましたが、いろいろと心がざわめいてしまうという意味で、この作品はやはり面白かったです。真梨幸子にはあくまでこの路線を貫いていってほしいですね。これからも追いかけていきます。
▽Open more.
『えんじ色心中』 真梨幸子 講談社 
2005.12.18.Sun / 10:49 
えんじ色心中えんじ色心中
(2005/11)
真梨 幸子

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  ★☆

 『孤虫症』でメフィスト賞を受賞してデビューして、期待大の二作目。

 グロテスクな虫と共に、インパクトのある文章で鮮烈な印象を与えてくれた真梨幸子でしたが、今回の作品では何をやりたかったのかわからなく、消化不良の気持ちを残したまま終わることになる。

 物語の大半を1章で費やしていて、2章が解決編となるのですが、それまで物語の本質が見えてこないため非常にストレスが溜まってしまう。
 核となるのは「西池袋事件」。熾烈な中学受験をかいくぐって名門の中高一貫校に合格したというのに、家庭内暴力の末、父親に殺されてしまうというもの。この事件で父親は無実を訴え、犯人は別にいると主張する。

 1章の構成が、過去と現在を交互に出してきており、且つ、「西池袋事件」を間に挟むことによって、複雑な構造がなおさら混沌してきて読者は翻弄される。しかも文章が凝っていて、会話文のかぎかっこを無くしたり、日記のような独り言のような文章だったり、子供と大人の区別をわざとつけてないのかと思うような文章だったりと、とにかく読みづらい。
 
 しかも、登場人物のどいつもこいつもが心が病んでいて、不満たらたらの生活をしているためか、イライラしてくる。そういう意味では、心の奥底にある感情が伝わってくるということで、巧いということか。ただ、こういう自分のことを一人称でダラダラ話してもらっても、この話がどこに繋がっていくのかまるでわからないので、途中で飽きてしまうのです。

 せっかく中学受験という現代の社会構造が生み出した子供の問題を扱ったのですから、もう少し切り込んだ話に展開させてくれるとか、あるいは、受験生の心の闇を引きずり出してホラー仕立てにするとか、やり方はいくらでもあったと思うのです。

 それでもミステリとしての結末を期待して、読みにくい文章をどうにかして読み終え、もやもやした気持ちを抱いたまま辿りついた解決編。それが待っていたのは、ありきたりの結末です。これでは拍子抜けです。あの複雑な構成には、なんの意味があったのでしょうか。果たして作者は、読者のことを考えて書いているのでしょうか。楽しめる要素を持たない作品は、小説ではないです。

 ミステリにこだわらずに『孤虫症』のときのようなぞくぞくする強烈な文章で、人間の内面をあぶりだしてくれるような小説を期待しています。

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追記

コメント欄に書き込みしてくださったお二人の書評はこちらになります。
お二人の書評を読むとより一層わかるのではないでしょうか。

「棒日記Ⅱ」のarchitectさん
http://d.hatena.ne.jp/architect/20051120/p1


「のぽねこミステリ館」ののぽねこさん
http://plaza.rakuten.co.jp/nopomystery/diary/200512030000/


追追記

感想リンクを貼ってくださったキノさんの書評がこちらです。
いつも鋭い視点なので参考にさせてもらっております。

「kinosy 本の感想」のキノさん
http://clp.rdy.jp/book/log/eid87.html
▽Open more.
『孤虫症』 真梨幸子 講談社 
2005.04.24.Sun / 10:41 
孤虫症孤虫症
(2005/04/01)
真梨 幸子

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  ★★★★★

 第32回メフィスト賞受賞作。

 決して万人にはお薦めできませんが、迫力ある内容は文句なく面白かったです。
垣根涼介の『クレイジー・ヘブン』が面白く読めて、やおい本で免疫ができているからかもしれませんが。

 ジャンルとしてはホラーミステリということなのでしょうが、ホラーというほどの恐怖感はなくてミステリとしてはそこそこといったところでしょうか。逆に無理してミステリ仕立てにしなくてもと思わないでもなかったです。じわじわと襲ってくる気持ち悪さが、後半に入って沈静化し、反対に多くの謎の収束に向かって話が進められるので、凄く盛り上がっていった気持ちが冷めていったのも事実です。その辺の感想を書こうとすると、何を書いてもネタバレになりそうなので書けないのが辛いところです。まあ、ミステリを読み慣れた方にとっては、こんなもんかなということで、オチは見当がつくのではないでしょうか。それでもこれだけの内容と文章には引き込まれました。

 郊外のマンションに住んでいるありふれた主婦の日常が、寄生虫という気色悪さとともにどんどん歪んでゆき、中学受験の娘や新婚の妹を巻き込んでいく様子がもの凄くリアルに描かれていて、これでもかという迫力で迫ってきます。捲る手が止まらないとはまさにこれのことですね。

 本書はドコモの携帯に配信されたそうですが、きっと続きが気になって毎日毎日楽しみだったに違いありません。斯くいう私も、テニスの試合の合間にちびちび読んでいたのですが、テニスなんかどうでもいいから先を読みたいと思った口です。

 最後に、キワモノ揃いのメフィスト賞ですが(私にとって)、今回は特にトンデモなく気色悪い主婦ホラーを出してくださって本当に感謝です。
▽Open more.
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 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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