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 シャーリイ・ジャクスン の記事一覧
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『ずっとお城で暮らしてる』 シャーリイ・ジャクスン 学習研究社 
2006.07.02.Sun / 09:12 
『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン

ずっとお城で暮らしてる (学研ホラーノベルズ―恐怖少女レクション)
シャーリイ ジャクスン (1994/12)
学習研究社

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 お城のような大きなお屋敷に住んでいる「わたし」は、メアリー・キャサリン・ブラックウッド、十八歳。屋敷から一歩も出ない姉のコンスタンスと半身不随のジュリアン伯父さんの三人で暮らしている。

 冒頭の「わたし」の語りから、一気に彼らの奇妙な田舎の暮らしに引き込まれてゆく。周囲の人物たちの接し方が普通じゃないのが居心地が悪くて、首を傾けてしまうのだが、何がどうなっているのか、読んでも読んでもわからない。それは、語り手の「わたし」が年齢以上に幼くまともじゃないからだ。果たして彼女の言葉を信じてもいいのだろうかという不信感が常に付き纏うのである。

 徐々に、彼らを取り巻く周囲の不穏さとともに過去の惨事が明らかになっていく。六年前、毒入りの砂糖をかけたヤブイチゴを食べたために、彼らを残してブラックウッド夫妻を含む屋敷の人たちが亡くなった。村中の者が、砂糖をかけなかった長女のコンスタンスを疑うのだが、なんの証拠もなく釈放されてしまう。以来、屋敷に閉じこもったまま三人で“お城”を築き自分たちの世界を完結させていく。ところが、この一見奇妙だが平和な暮らしの中に、いとこのチャールズという闖入者がやってきたから“お城”の世界が変わってしまう。「わたし」の幼い精神はいよいよ崩れ、行動は異常さを増していく。金銭のことばかりうるさく言うチャールズ。「わたし」の居場所はなくなっていくのに、彼女を守ってくれていた姉のコンスタンスまでがチャールズに同調してゆく。

 たらたらと緩やかに悪意と怖さが追い討ちをかけ、物語は火事によって思わぬほうへ向かってゆく。ここから、この話はもっとも面白くなる。不安定な姉妹の言動が、料理を通して現れてゆくのだ。

 シャーリイ・ジャクスンは家事や部屋の内装という一見どうでもいいところにこだわって描いているようで、それは読み手のイライラさと同調していく。とくに料理は重要な役割をしており、精神状態をも表し、惨事や謝罪のアイテムとして使われている。村人の変わりようにはずっこけてしまったが、ラストのオムレツという言葉は何故かしら不気味で、この作品の奇妙さを引き立たせているようであった。

 今更ながら『くじ』が凄いことに気づきました。ああ、こういう不安定さが良いのね。ということで、本書は名作です。



▽Open more.
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『くじ 異色作家短篇集6』 シャーリイ ジャクスン 早川書房 
2006.06.03.Sat / 18:40 
くじ (異色作家短篇集)くじ (異色作家短篇集)
(2006/01)
シャーリイ ジャクスン

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  ★★★

 善意はあっても普通の人たちが、普通の日常生活のなかで過ごしていて、とりわけて何が起こるわけでもない普通の小説。なのに、どこか妙な魅力がある素晴らしい小説。

 シャーリイ・ジャクスンは初読みなので、たとえばシリーズものを書いているかどうかなんて分からなかったのですが、「ジェームズ・ハリス」という彼女の持ちネタである、亡霊であり悪魔の化身のような男がちらちら出てきます。だからそれを念頭において読むと楽しさが倍増します。ただしこの男を巡る話ではないです。

 最初の「酔い痴れて」で、いきなりクソ面白くもない平凡なパーティ会場の話、かと思えば、もしかしてこれは悪魔の登場なのか!?と期待する。いや、どこにもそんなことは書いてないのだが、いかにも思わせぶりな会話はそうとしか思えない。ここでわたしの腐った脳内妄想はあらぬほうへいってしまう。

 次の「魔性の恋人」は、結婚相手にすっぽかされる女の話である。これを読んで、ほうらやっぱり「ジェームズ・ハリス」という悪魔がやらかした所業だろうと確信した。いやだから、悪魔だなんてそんなことはなんにも書いてないって。
 じわじわ追いつめられる禍々しい雰囲気が良い。

 マザコン気味の、家事の得意な細かい男が登場する「おふくろの味」。女性が書いているせいか、描写がやたらと細かい。いちいち家具の配置やその男の動きを描かないでもいいだろうと思うけど、どうやらこれがこの作家の特徴らしい。でも読んでいるうちに味が出てくるから不思議である。遊びに来た彼の恋人とジェームズ・ハリスに居座られ…。にやにやと意地の悪い目で彼を見る二人。優しそうな態度にぞっとする。ほうら、いわんこっちゃない。
 悪魔はずかずかと遠慮なしに部屋にはいってくるものなのよ。

 「決闘裁判」は知らぬ間に物がなくなる。不思議系かと思えば、そうではなくて意外や意外。意外とほんわりした読後感でよろし。

 だけど、日常の一片を切り取っただけの「対話」なんて何を言いたいのかわからない。という話も結構入っていて、本書ってどうよ?と思ってしまう。

 作品全体としては、人の噂話、それは井戸端会議のような、まるで毒のある会話を楽しむ滑稽さがあり、悪魔が知らぬ間に自分の部屋に入り込んできて、当たり前のように居座ってしまう恐怖を感じる。むむむ。ということは、傑作なのか?なのに星三つはどういうこと?いやだからね、読後感がね。

 好きな作品は、

 「おふくろの味」
 「決闘裁判」
 「どうぞお先に、アルフォンズ殿」
 「チャールズ」
 「曖昧の七つの型」
 「アイルランドにきて踊れ」
 「大きな靴の男たち」
 かな。
 なあんだ、好きな作品って結構いっぱいあるんじゃないの。
 あれ?表題作の「くじ」は?

****************

 「くじ」は、やはり傑作なんですね。
 でも、わたしはこの手の小説が好きではないのです。
 結構どろどろしたものとかグロテスクなものとか鬼畜系なんかは好きなんですが、どうも笑いながら悪意のある態度をとるような自分の身に降りかからなければ何をやってもいいというのは嫌いなんですね。

 あと、やはり女性作家のせいなのか、あるいはこの作家の持ち味なのか、どうでもいい日常生活をぐじぐじ描いているのはあまり好みではなかったです。
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