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 春口裕子 の記事一覧
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『女優』 春口裕子 幻冬舎 
2008.02.18.Mon / 14:05 
女優女優
(2003/01)
春口 裕子

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女優 (幻冬舎文庫)女優 (幻冬舎文庫)
(2004/10)
春口 裕子

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 ★★★★☆

 やっぱり春口裕子は文句なしに面白い。どろどろとした女の内面を書かせたら天下一品である。少し泥臭くはあるが。

 主人公は、美王堂という大手化粧品会社に勤める平川佳乃、29歳。学生時代からトップにいないと気がすまない性格。もちろんそのための努力は人一倍しているし、なにより、策を弄することにおいては人後に落ちないのである。そんな、常に注目を浴びてないと気がすまない見栄っ張りな佳乃が、広報部という華やかなセクションから地味な企業倫理事務局に異動になってしまったから堪らない。プライドの高い佳乃としては、とてもじゃないがこんな屈辱的なことは友人に話すことができないと思うのは至極当然なこと。どうにか知られないようにとあの手この手で動き回るのだが、事態はどんどん泥沼にはまってしまうのである。もういよいよどうしようもないと思っていたら、思わぬ出来事が佳乃を襲うのだった。

 人生のスポットライトを浴びるためには、人を出し抜いていくのは当然であろうし、そのための努力は厭わない。しかも人にどう見られるかといつもビクビクと、常に鎧を纏ってないといけない。それはまるで「女優」として演技を続けていくようなものだ。しかも出る杭は打たれるというのはどの世界でもあるように、友人からの妬み嫉みを買ってしまうのもお約束だろう。嫉妬や憎悪、あらゆる悪意が渦巻いてゆき、その攻撃は執拗さを増していくのだから、性格が少々捻じ曲がるのは仕方がないことだ。

 だが読み進んでいくうちに、主人公が可哀想になっていく。たしかに性格に問題があるのは分かっている。部屋はゴミで溢れているし、カード支払いは考えなしだし、男性の趣味も悪い。だけど、ここまで追い詰めていかなくてもいいじゃないかと、作者に殺意を覚えるくらい、だんだんと主人公に肩入れしていくのだから可笑しなものだ。この辺の感情はなかなか紙面では書き表せないものがある。やるせなくてもやもやしたものなのだ。男性の方が読むとまた違った感想になると思うが、とにかく目が離せない。途中からミステリになってしまったので、どっぷりと漬かっていた重い感情が薄れてしまったのが残念だが、最後までノンストップで読める面白い小説だった。

 お薦め。

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『火群の館』 春口裕子 新潮社 
2008.02.18.Mon / 14:02 
火群の館火群の館
(2002/01)
春口 裕子

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  ★★★

 第2回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞した作品。

 気に入ったマンションで明日香は、真弓と共同生活を始めた。だが、入居してすぐに奇妙な出来事が起きる。最初のうちは気のせいだと言い聞かせていた明日香だが、バスルームの蛇口から大量の毛髪が現れてからは、自分が妄想に囚われているのか実際に起こったことなのか判断できなくなる。それと共に、真弓の恋人の失踪がし、ついには真弓まで浴槽で……。

 マンションにまつわるオカルト的ホラーな話。

 うーん、いったいこれはなんの話だったのかわけわからん代物だった。いかにも何かが起こりそうなオープニングも巧いし、現実と幻想が入り混じった話も悪くはない。だが、主人公の明日香の性格が強くないせいか、果たして実際に起こっていることなのか夢なのか判断できないため、怖さも半減し、真面目に読み解いていこうとする気持ちを萎えさせた。

 火事が起こったことによって人生を狂わされたり、大事な人を失ったりして、怒りやら絶望を胸に秘めて責任の在りかをはっきりさせたいと、復讐を企てるのはわかる。だが、それをオカルトと結びつけたためにせっかく面白くなりそうな謎解きも中途半端なものとなってしまい、本来なら熱いものが胸に迫ってくるオチが薄っぺらいものとなってしまっていた。

 髪の毛の使われ方はなるほどと思ったが、吸盤の意味も使われ方も意味不明のままに終わっていた。ラストは、どんなふうに纏めるのか迷ったのか、あるいは面倒になって放ってしまったのか、とにかくすべてが曖昧なままで終わっていたのには呆気にとられて脱力してしまった。

 それでも読んでいる最中は、登場人物たちの興味から、また恐怖の出所がどこにあるのかと、友人、知人、隣人たちの言動から読み取ろうとする作業は楽しかった。次作にものすごく期待。
『イジ女』 春口裕子 双葉社 
2008.02.18.Mon / 13:59 
イジ女イジ女
(2008/01)
春口 裕子

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  ★★★★

 初めて読んだ『ホームシックシアター』がことのほか気に入ってしまいこの作家を追いかけていくことにした。ということで最新刊の本書を手にとってみた。

 「目立とう精神」「オフレコ」「ミーちゃんハーちゃん」「ご機嫌なナンバー」「あんぽんたん」「やる気ナッシング」「イジ女(め)」「レッツらゴー」の8編。

 冒頭、作者の真骨頂が発揮された「目立とう精神」の素晴らしさにガツンとやられてしまって、他の作品が霞んでしまったというのは残念だったが、どの作品も一応に満足するものに仕上がっている。

 他人の生活を覗き見るのが好きなので、こういう身近な人に焦点を当てて書いてくれた作品は大歓迎だ。とくに「目立とう精神」に出てくる気取った奥様なんて、読み物としては最高。周りを取りしきり、自分の声が絶大だと自惚れているような女は一度痛い目をみたほうがいい。とは思うものの、実際はこういう輩が幅を利かしているのが現実だ。そんな狭い環境で、この場合はマンション内での勢力分布なのだが、主人公が逆襲(?)に出るという爽快さ。ただただ応援してしまった。

 ここだけの話といって、あっちにもこっちにもいい顔する女は許せない、「オフレコ」の女。職場の中で、そんな女に振り回された同期入社の二人は、もともと反目しあっていたこともあり、一人の男を巡って事態はいっそ面倒なことになり……。この振り回している女も一度ガツンと痛い目にあったほうがいい。あれ? こればっかりだ。

 ミーハーな女達の話、「ミーちゃんハーちゃん」。これも自虐的な笑いがある作品。自分はお洒落な女だし、彼氏はカタカナ職業。そんな幸せ一杯のデート中にデビュー以来の織田祐二ファンだというイタイ同級生に出会う。こんな同級なんかに会いたくなかったと思うものの、強烈な彼女の言動に巻き込まれていくうちに、いろいろと考えさせられていく。実際、幸せだし、どこにも悲嘆的なところはない。と思っている主人公だけど、30歳を祝ってくれる彼氏は……。いや、止めたほうがいいって、こんな彼氏。

 「ご機嫌なナンバー」は巨乳女の話。合コンで釣った男に奢らせるのもいいが、ほどほどにしておかないといつか逆襲を食らうって。ほんと。

 「あんぽんたん」のネーミングがぴったりの、まさにムカムカしてくるほどあんぽんたんの女の話。世界は自分中心で回っていると勘違いするのはよくあることだが、頭の悪い女が無自覚に(ほんとにそうか?)ネチネチと気の弱い者を虐めることほど傍で見ていて気分の悪いことはない。この女にぎゃふんと言わせたいと思いながら読むのだが、作者がお優しいのか、ぐだぐだの生温い展開で終わっていたのはしごく残念。

 「やる気ナッシング」はネーミングだけが面白い作品。

 表題作の「イジ女」の感想はナシ。面白かったと思うものの、後味が暗くて内容を覚えていないから。

 最後の「レッツらゴー」は笑えるほどケッサク。今までの主人公の後日談になるのだが、溜飲が下がったりと、なかなか愉快だった。

 全体的にみて無難な仕上がりを見せているが、様々な嫌な女を見てきたり、話を読んできた者にとってはこれでは少々物足りない。作者の優しい面が出てきてしまったのか、微笑ましい余韻は結構だが、話を誤魔化されたと思うところもあってのめり込むほど夢中にはなれなかった。期待していただけにちょっと残念。でもこれからも楽しみな作家として追っていこうと思ったのだった。
『ホームシックシアター』 春口裕子 実業之日本社 
2008.01.11.Fri / 00:44 
ホームシックシアターホームシックシアター
(2007/11/20)
春口 裕子

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  ★★★★★

 初めて読む作家である。なぜ読んだかというと、表題作が日本推理作家協会賞候補(第60回・短編部門)の最終候補作になったことを知っていたからでは、もちろんない(こういうのはほとんど興味がない)。滅多にないことであるが、なぜかアフィリエイトを踏んでくれてお買い上げくださった方がいたからである。こんなことがあると嬉しくなって、どれどれと読みたくなるのが人情である。で、これが当たりだった。

 「蝉しぐれの夜に」「ホームシックシアター」「オーバーフロー」「セルフィッシュ」「小指の代償」「おさななじみ」の六編が収録されている。

 読後にタイトルを見てもちっとも内容を思い出せないような無味乾燥なタイトルとは相反して、内容のほうは女性たちの嫌らしさや剥き出しにされた怖さに、これは拾い物だ、とにんまりしてしまった。

 一雨きそうな夏、不妊治療に通っている小夜子は、暑中見舞いのハガキを受け取る。写真が誰であるのかは、「蝉しぐれの夜に」判る。ミステリー的巧さもあって、ぞくぞくするほど面白い。この先をもっと読みたかった。

 自分のことしか考えない人はどこにでもいるが、次の表題作になった「ホームシックシアター」の私も手前勝手な行動をする人物だった。隣の部屋に引っ越してきた女性に興味をもち、いきなり部屋に招き入れて蟹鍋を振舞うという神経も分からないが、そもそも隣の部屋が殺人のあった部屋だとわざわざ教えたいというだから相当なものである。さて部屋に遊びにきた隣の女性だが、部屋にある立派な「ホームシックシアター」を見て興味を持つ。なぜか。

 デパートの靴売り場で働く私は、もういい加減こんな職場からはおさらばしたいと願っている。そうであれば、希望はやはり結婚だ。すでに気持ちは一杯一杯である。水が溢れるように「オーバーフロー」が起こってしまっても仕方がないだろう。途中でオチが読めてしまうが、臭いにむせ返るような描写が良い。

 自分本位の「セルフィッシュ」な女。誰のなかにもそういう思いはあるだろう。しかし利己的な言動は、やはり自分に返ってくるということか。後悔先に立たずとは、彼女のことであった。

 結婚式を間近に控えたカップルは幸せの真っ只中だろう。浮かれていたわけではないが、友達と一緒に行ったスキー場で事故が起きる。「小指の代償」とはなにか。気持ちはわかるが、やはり自分勝手としか思えない人物がいた。

 最後の「おさななじみ」で今までの嫌らしさが氷解するようである。ほっと一息がつけるのは、やはり良い。学生時代、仮病を使ってまで保健室で勉強する。こんな気持ちは分からないが、自分には偏差値しかないと思う気持ちは理解できる。その彼女が母親になったときの気持ちにしみじみとした安堵を覚えてしまった。

 お薦め。
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 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 感想でいらした方は、カテゴリの[国内海外]の感想をクリックしていただくと日付順に表示されますので見やすいかと思います。
 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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