ADMIN MENU ≫ | IMAGE | WRITES | ADMIN
 角田光代 の記事一覧
スポンサーサイト 
--.--.--.-- / --:-- 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
『福袋』 角田光代 河出書房新社 
2008.03.09.Sun / 00:09 
福袋福袋
(2008/02/15)
角田光代

商品詳細を見る

  ★★

 つまらん。

 するする読める。じゃあ、するする読めるんなら面白いんじゃないの、と問われれば、それがそうでもないから困る。まず、出てくる人たちが揃いも揃って貧乏臭いのが嫌だ。夢がないとも言う。それでも、そんな、カサカサと乾いた貧乏臭い人たちの話を聞いて、ものすごいオチが待っているのであれば救われもするが、もう考えるのも面倒臭いみたいなフェードアウトの幕切れでは納得がいかないというもの。

 最初の「箱おばさん」、タイトルを見ると、奇妙奇天烈な感じがして面白そうなのだが、駅ビルの店員が、おばさんに押し付けられた箱で困り果て、皆でアレコレ好き勝手に想像していくという展開では、中身がなんであれ、どうでもよくなってくる。

 次の「イギー・ポップを聴いていますか」でも似たような展開。なんでもすぐ拾ってくる夫が、今度は何を拾ってきたかと思えば、数本のビデオテープ。どんなテープなのか自室で1本ずつ見ていくのだが、もうこの時点で先が見えてきて、どうでもよくなる。ゴミを拾ってくるという貧乏臭い感覚についていけない。

 3つ目の「白っていうより銀」。すでにタイトルからして意味不明。離婚届を出してきた帰り道、駅のホームで赤ん坊を抱いた母親から、「この子を見ていてください」といきなり押し付けられて呆然とする。すると、別れた夫が戻ってきて一緒にあやしてくれて、ほっとするほのぼのとした展開に、だけどそれって、捨て子じゃないかしらという疑惑もむくむくと、読むほうもどきどきしてくる。だけどオチが平凡でつまらない。だから、白が銀であろうと、どうでもよくなる。

 なんだ、この短編集は、と思いながら、それでも止められなくて次を読んでしまう不思議さ。その4つ目のタイトルは、果たして「フシギちゃん」。派遣社員の長谷川さんは37歳。“私”より十歳年上だが、なにを考えているのかよくわからないと、みんなから陰でフシギちゃんと呼ばれている人だ。しかし彼女をフシギちゃんとたらしめるのは、やはり彼女の不可解な行動があった。え、こんなことまでするの、って、引きまくったもの。

 ドン引きしたのもつかの間、5つ目の「母の遺言」を読む。ところが、これが非常に面白かった。やはり角田の面白さは、こういう家庭内のどろどろした心うちをこれでもかと描写していくことにあると思う。母の遺言に何が書かれてあるのか、兄と妹たちは疑心暗鬼になってしまう。使い道に思いを馳せながらそれぞれが思うことは、最後まで自分勝手で自己中なもの。そんな中で、母の遺言を開けてみると、これがなんとまあ、○○だったというオチ。変なことを考えるなあ、角田光代。面白い。

 あとの3編は、「カリソメ」「犬」「福袋」。離婚した女が前夫の同窓会に出る話とか、犬を巡って離婚しそうだけどしないカップルだとか、婚姻届を出したいからと、碌でもない男を追いかける女とか、どうも楽しいと思えない話ばかりが続く。なので、感想はこれでおしまい。

 え? なんか面白そう? そ、そうかも。


**********************

トラックバック
-「福袋 角田光代」(粋な提案)

スポンサーサイト
『三面記事小説』 角田光代  
2007.10.13.Sat / 22:41 
三面記事小説三面記事小説
(2007/09)
角田 光代

商品詳細を見る

  ★★★★★

 「愛の巣」「ゆうべの花火」「彼方の城」「永遠の花園」「赤い筆箱」「光の川」の6編。

 とにかく夢中になって読んだ。どれも非常に面白い。とくに「愛の巣」と「赤い筆箱」はミステリ的だし、「光の川」は他人事ではなく、そんなドラマを自身に置き換えてみては、身悶えるようにして読んだ。

 新聞の三面記事欄には、毎日、犯罪が載っている。床下から白骨化した死体が見つかった。家の周りを鉄条網で囲っている。“闇サイト”に不倫相手の殺害を依頼した。男子高校生にみだらな行為をした。給食に薬物を混ぜた。自室で勉強中に男が押し入り包丁で刺した。介護疲れで母親を殺害。などなど。

 こんな記事を読むと、ああ、またか、と思っても、その背後にある事情はまったくわからない。どんな込み入った事情があったのか、それはもしかしたら私達のほんの隣にいる人が関わっているかもしれないのだ。隣人である平凡な人が事件を起こす。角田は、一片の記事から発想し、あたかも見てきたかのように描き出し、まるでこの犯罪がそうであるかのように我々を錯覚させてしまうのである。事件の前にこそドラマがあったのだった。

 傑作。
『おやすみ、こわい夢を見ないように』 角田光代 新潮社 
2007.01.20.Sat / 22:00 
おやすみ、こわい夢を見ないように おやすみ、こわい夢を見ないように
角田 光代 (2006/01/20)
新潮社
この商品の詳細を見る

  ★★★★★

 ぞっとするくらい巧い短篇集だった。

 「あたしですか、あたしはこれから人を殺しにいくんです。」の出だしから始まる、なんとも不穏な空気が漂う7つの物語。

 どの話も、心の奥底に潜んでいる他人への憎悪が根底にあるせいか、先が気になってしようがない。例えば、本気で殺したいと思う気持ちというのは、いったいいつ芽生えるものだろうか、と。

 小学生のとき、担任からの理不尽な苛めをされる。無視され差別され些細なことで激しくしかられるたびに、なぜ自分がこんな目に合うのかわからないと思う主人公がいる。そんな彼女の気持ちと同調するように、しだいに負の感情が紙面を覆っていき、ぞわぞわした気持ちに泡立ってくるのだった。

 全編のテーマは悪意である。だからどの作品も、徹底して容赦がなく、辛口な物語ばかりだ。だが、その悪意に身悶えながら、では自分はいったいどうしたいのかと自問自答したとき、袋小路に迷い込んだみたいに心もとない気持ちになってしまうのはなぜだろうか。それは正しいとか正しくないとか割り切れるものではなく、いつまでも燻っているものだからだろう。

 だから、冒頭に出てきた殺しに行くと言った「彼女」や、図書館でいつも同じ場所に居座っている浮浪者らしき「女性」や、それから自宅の目の前にある公園に住んでいるホームレスの「女性」、あるいは寿司工場のパートの「女の子」など、本書の主要人物より彼らのほうが大変な人生を抱えていると思われるのに、まったく話に関わってきていないのは、意外と自分で答を出していて、すでに納得済みだからではないかと思うのである。

 ラストでは、主人公たちの行く末がはっきりとは示されてはいない。でもそれでいいのだと。もしかしたら彼ら自身、それぞれが抱いていた憎しみの正体を知りたかったのかもしれないし、ひょっとしたら彼らは、すでに気づいていて、承知していたものかもしれない。そしてこれは、誰もが陥る日常のことかもしれないのだ。だけど、こわい夢を見ないですむのなら、それに越したことはない。そんな日々を送りたいと切に願った今日一日だった。(2006-02-02)

----------
読書日記に一度アップしたものを少し推敲して載せました。
やはり角田さんは巧いですね。
読後感は決して良いものではないかもしれません。
ですが、私はこういうちょっと不気味で悪夢のような話が大好きです。
とても面白かったです。
『薄闇シルエット』 角田光代 角川書店 
2006.12.16.Sat / 22:48 
薄闇シルエット薄闇シルエット
(2006/12)
角田 光代

商品詳細を見る

  ★★★★★

 ああ、やっぱりわたしは角田光代の小説が好きだ。その辺によくいる女の子(おばさんかもしれないが)の本音を聞くのが好きだ。主人公の悩みや苦しみを、自分ならどうするかしら、と思いながら読むのは面白い。主人公が自分のことを幸せだと感じるのは、どんなときなのかしら、と考えるのは楽しい。この小説がまさにそう。じんときて、切なくなるほど面白かった。
 
 主人公のハナちゃんは、37歳、独身。こんなふうに書くと、なんだか初っ端からわけもなく喧嘩腰に聞こえるから不思議だ。だけどこの小説はこの年齢設定だから、面白い。
 
 37歳なんて若くていいな、と思うわたしは、だけどやっぱり37歳は後がないんじゃないかなと思ったり。いや、こんなこと言っては失礼だと思うけど、女性の37歳で独身というのは、やっぱり色々としんどいんじゃないかなと思うわけ。ほんとに余計なお世話なんだけど、まだ吹っ切れてない何かがあるんじゃないかと思うのね。
 
 独身といっても、ハナちゃんは勝ち組と言っていい。親友のチサトと一緒に経営している古着屋はそこそこ儲かっているし、腐れ縁とはいえ気の置けない恋人もいる。周りが結婚しても、親友のチサトは独身だし、マンションには泊まってくれる恋人もいるし、何より自分で経営している店を持っているのだ。それはもう強気な発言がバンバン出てくるのは仕方がない。
 
 結婚している人が偉いのかと、チサトに詰め寄ったり、一人取り残されるという寂しさはあっても、やっぱり嫌なことはしたくないし、ましてや恋人から「結婚してやる」「ちゃんとしてやる」なんて言われた日には、かちんときて、どうしてわたしがそこまで言われなくちゃいけないの、と思ってしまうのはしょうがない。
 
 たしかに、人生にはつまらないと思うことはたくさんある。そしてハナちゃんは、そんなつまらないことより楽しいこと選んだのだ。と、思った。選んだそれは、でも、ハナちゃんをちっとも幸せにはしてくれなかったようだ。
 
 読めば読むほど、なんだかハナちゃんと一緒になって、それでいいの、と問いかけているし、悩んでしまっている自分がいる。だけど、考えて考えて読んでいった小説は最高に面白かった。
 
 角田光代の小説は、社会参加のあまりない、どちらかと言えば身近な話で作られていることが多い。登場人物が自分勝手だったり、平凡な女性であったり、苦手な人だったり、あるいは自分と似ている嫌な奴だったり。だけど、その狭い世界を、自分でも気付かない心のひだを丹念に描いてくれているからいいのだ。心理描写がリアル過ぎて胸が痛くなってくることはあっても、最後には、それが感動になっているからいいのである。だからそういう小説は、読んでいてもとても面白いし楽しい。
 
 お薦め。
『夜をゆく飛行機』 角田光代 中央公論新社 
2006.07.28.Fri / 22:51 
夜をゆく飛行機夜をゆく飛行機
(2006/07)
角田 光代

商品詳細を見る

  ★★★★☆

 真っ当な家族小説である。だが、なぜこんな回顧的なぬるま湯の小説を角田が書くのかわからなかった。きっと自分自身が幸せだと思っているから、こんなからからと乾いたような小説を書くのだろうと変に勘ぐってみたり。だけど一家のアルバムは、だんだんと私のなかに染み込んでゆき主人公と一緒に体験することになるのだった。

 主人公は酒屋の四女の里々子である。四女ということで、いつも割が合わないような、それでいて、姉たちから可愛がられているような、なんとも羨ましい立場にある。だけどよくよく考えてみれば、高校生の彼女の目を通して語られる日々は、わたしにとってはなんら真新しいことはないし、ましてや里々子にとってもそれほど楽しくて幸せな日々というわけではなかったのだ。それなのに、ぽつぽつと心に響いてくるのは、どんなに疎ましくて詰まらないことでも、
 
 それが変わらずに懐かしい日々の思い出として誰の胸にもあるからだろう。
 だが、いつまでも変わらずに続いていくと思っていた家族は、年齢を重ねていけばやっぱり悲しい出来事も多くでてくる。なかでも身内の死というものはやはりどうしようもなく辛い。でも角田はその死でさえ、しめっぽくならないようにカラっと乾いた手触りで表現していくのである。父親が親戚に知らせるのは正月三が日が過ぎてからでよいと言うのにはずっこけてしまった。いやはや、これは目新しい。

 あるいは、家族から小説家が出るとか出ないとかいう仰々しい話もあるが、御自身の体験がもとになっているようでこれまた楽しい。そうかと言えば、焼けぼっくりに火が付いた姉の話は、とたんにしんみりとして、違和感がありまくりなのにやっぱり乾いていて良い。

 だけど、そんな話も若い里々子にとってはどんなふうに見えるのだろう。果たしてこれは刺激的なことなんだろうか。彼女の淡々とした態度がことのほか新鮮に見えてしまうのである。滑稽で騒々しい出来事も、時が経てばセピア色に染まってしまうからだろう。だからこそ、そのときそのときの気持ちは泣きたくなるほど切ないのである。里々子の恋の話を読んでいると尚更そう思ってしまうのだった。恋をしている相手の男から理不尽な言葉を投げつけられる里々子。これこそ角田の小説だと思う。こんなムカつく男についていこうと思う里々子が健気である。そんな話を書く角田はやっぱり面白い。

 いつのときも変わらぬようで変わっていくのが家族である。夜の飛行機を眺めてふと思う里々子の横顔が、かつて遠い日に思っていた自分自身と重なってしまうのであった。

『ドラママチ』 角田光代 文芸春秋 
2006.07.11.Tue / 22:45 
ドラママチドラママチ
(2006/06)
角田 光代

商品詳細を見る

  ★★★★★
 
 面白い。じつに面白い。

 「ドラママチ」というように、5文字のカタカナで表している8編が収められた短編集である。
 
 すかすかした題名に恐々と手に取ってみれば、案の定、わたしにとって面白くもなんともない、時間の無駄のような地味な話が展開されていた。ストレスを溜め込んでストーカー化した女の話なんかつまらんし、テーマは過激でも内容が鬱々としているので、こんなものは読んでいても楽しくない。と、いよいよ角田光代も書く題材がなくなってきたのかと俯きかけたが、いやいやいや、やはり角田光代はさすがであった。
 
 後半の「ゴールマチ」に入ってから俄然、角田らしい話が展開する。生活に密着したその辺に転がっている話を笑える言葉と皮肉な言葉でズサズサと語ってくれているのである。それこそ、いきなり頭の後ろをガツンと叩かれたような衝撃があった。「陰毛に白髪よ」「性交は」というセリフがナチュラルに出てくる角田の小説が好きだ。

 表題作の「ドラママチ」が秀逸であった。

 どの作品にも、もうあまり若くない、半分人生を諦めているような女ばかりが登場して気が滅入ると言えばそうなのだが、この「ドラママチ」は白けている女という意味でとくに印象がある。
 
 この男だ、と思って捕まえた男が、どうもそれほど魅力的で立派な男ではなくなってきていた。6年も付き合ってきて、自分は本当にこの腹の出た男と結婚するのであろうか、と。散々な言葉と一緒に語られる物語は、だけど胸に込み上げてくるものがあった。ほんとに、もう少しで涙がこぼれるところだった。

 その次の「ワカレマチ」もズキズキと心が痛くなるような話で、これもまた良い。そして、全編を通して喫茶店で語られるその数々の話が、なんのことはない言葉だけにやけに心に響いてくるのである。後半からは目が離せなくなって一気読みしてしまった。

 オススメ。
| BLOG TOP |
プロフィール

でこぽん

Author:でこぽん
 ようこそいらっしゃいました。
でこぽんです。

 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

---------
 感想でいらした方は、カテゴリの[国内海外]の感想をクリックしていただくと日付順に表示されますので見やすいかと思います。
 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

---------
 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

----------------
 何かありましたらこちらまで。
 メールアドレス
yokonetjp*yahoo.co.jp(*を@に変えてください。)

------------
 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
------------
 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

最近のコメント
最近のトラックバック
カウンター
でこぽんの読書メーター
でこぽんさんの読書メーター
QRコード
QR
CopyRight 2006 でこぽんの読書通信 All rights reserved.
Photo material by <ivory> / Designed by Il mio diario
Powered by FC2BLOG / 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。