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 関田涙 の記事一覧
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『名探偵 宵宮月乃 5つの謎』 関田涙 講談社青い鳥文庫 
2009.08.25.Tue / 13:09 
名探偵 宵宮月乃 5つの謎 (講談社青い鳥文庫)名探偵 宵宮月乃 5つの謎 (講談社青い鳥文庫)
(2009/08/11)
関田 涙

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 これは、青い鳥文庫における本格ミステリのシリーズ、マジカルストーンの話、はちょっとお休みして、可愛らしい名探偵、宵宮月乃がどんな難しい謎もサラサラ解いちゃうという、遊び心満点の短編集。もっと平たく言えば、ま、この5つの本格ミステリ、解けるものなら解いてみろ、という、いわば読書に挑戦状を送りつけてきた本なのである。

 なので、児童書といえども侮れない。いきなりプロローグから、倒述ミステリーが始まり、犯人がどんなトリックを使って病室に侵入したのか解いてみよ、ときた。ならば、数多くのミステリーを読んできた者としては、たかだか2,3枚の頁で降参するわけにはゆかない。穴の開くほど図面に見入り、本をくるくる回して頑張った……。

 密室あり、次々と送られてくる謎のメールあり、コンゲームあり、その一つひとつにいちいち感心して唸るものの、今回は(も?)全く歯が立たなかった。だって、ただ機械的に謎解きするんじゃなくて、ほろりとする話を挟んでいるのだから、ついついそちらのほうへ気持ちがいってしまうじゃないの。やっぱり仲間を思う優しい気持ちや健気な病気の子供には勝てないなあ。でもこういう子供たちが登場するので、このシリーズは大好き。そして、ほんとに面白い。

 それにしても、今回も充実した本格ミステリを堪能させてもらった。よくぞこんなにたくさんの謎を考えつくものだと感心するばかり。あ、それもそのはずですね。本格ミステリ作家の関田さんですから。もちろん、ミステリー作家志望の月乃ちゃんがスラスラと謎解きするように、ネタ作りは御茶の子さいさいなんでしょう。そうそう。叙述ミステリまであったのには恐れ入りました。

 ちなみに、あとがきの謎は、解けなかった、です。次のページにヒントが書いてあるってことだけど、何もなかったぜ? 著者紹介が載っているだけだった。もしかして炙り出し? (これをずーーーっと考えていたために感想文を書くのが遅くなってしまったよ。なんてこったい。)
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『ジャングルドームを脱出せよ! マジカルストーンを探せ! Part5』 関田涙 講談社青い鳥文庫 
2009.04.29.Wed / 18:40 
ジャングルドームを脱出せよ! マジカルストーンを探せ! Part5 (講談社青い鳥文庫)ジャングルドームを脱出せよ! マジカルストーンを探せ! Part5 (講談社青い鳥文庫)
(2009/04/16)
関田 涙

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 「マジカルストーンを探せ!」のシリーズ5作目。今回もとても面白かったです。

 今回は、タイトルにあるように、なんとかしてジャングルドームから脱出しようと、日向と月乃が協力し合って誘拐犯をやっつけるという話。

 といっても、単に誘拐犯をやっつける話だけじゃなくて、その間にジャングルドームが緑色に光る謎なんかがあったりして、ほんとに盛り沢山で楽しかった。

 第一、誘拐なんて、現実的に考えるとどよーんとなってしまうものだけど、マジストのみんなにかかると、時間制限ありの絶体絶命のピンチだって、サクサク解決してくれるから、読んでいても気持ちがいい。しかもアクションが主になりそうっていうので、どんなに色気のない話になるかと思えば、意外や意外、いろいろと綺麗なお姉さんが出てきて楽しませてくれた。これは嬉しい。プロローグでいきなり、黒い肌のものすごい美女が出てきて静々と語りだしてくれたところで、すでにノックアウト。ひょっとして、他にも楽しませてくれるのかなと思ったら、果たして、塾でもボーイッシュな先輩が出て来て、ちゃきちゃきと絡んでくれた。

 やっぱりこういう綺麗なお姉さんたちが出てくると、場が華やいでいいよね。最後には、ナイスバディの真っ赤な髪の、アコナイト姐さんまで出てきてくれたので、もう言う事無し。間宮氏のイラストも、物語の雰囲気にぴったりで充分堪能させてもらった。

 さて、事の発端は、夢の世界の終焉を防ぐために、7つのマジカルスーンを集めている日向と月乃が、さすがにあちこち飛び回ってばかりもいられないというので、学習塾に行くことになったからなの。
優等生の月乃は塾なんて行かなくても、ちっとも困ることはないだろうけど、空手に夢中になっている日向はこのままでは高校受験で困ることになるというので、体験入塾してみることになったの。お母さんが選んだところは、中学受験コースもある全国展開している大手塾、ネイキッド・ブレイン。通称、ネキブレ。

 隣町にあるという横浜校は、地下2階、地上10階建ての近代的な高層ビル。ショッピングモールやスポーツジムなんかが入っていて、そのうちの5階から10階までが塾というのだから、どれだけすごい塾かわかるというもの。どういうシステムになっているのかは読んでからのお楽しみ。こういう現実味帯びている話って、面白いよね。きっと小さいお友達も気になると思う。

 おおっと。塾の話はこれくらいで。肝心なのは日向たちを誘拐したショットガンを持った犯罪者たちだった。いやでも、こういう身近な出来事から一気に非日常的なことに突入していくから、この物語は面白いんですね。

 ということで、あまり話しちゃうと感動が半減するので、マジストのみんなの活躍は読んでからのお楽しみに。そうそう。ビルの屋上に、噂のジャングルドームがあったのでした。おしまい。
『名探偵 宵宮月乃 5つの事件』 関田涙 青い鳥文庫 
2008.12.24.Wed / 01:59 
名探偵 宵宮月乃 5つの事件 (講談社青い鳥文庫)名探偵 宵宮月乃 5つの事件 (講談社青い鳥文庫)
(2008/12/16)
関田 涙

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 メフィスト賞作家である関田涙さんの児童書です。今回は、マジカルストーンはお休みして、このシリーズで名探偵ぶりを見せてくれている美少女・宵宮月乃ちゃんが解決する、5つの事件のお話。もちろん相棒で親友でもある、空手が得意な朝丘日向ちゃんも登場しています。また今回は、懐かしい人達も駆けつけてくれて、オールキャストならではの賑やかさに、楽しさも倍増。相変わらず可愛らしいイラストと一緒に謎を解いていくことができます。

 5つの事件は、やはり小学校5年生の女の子が解決するというので、日常の謎系のミステリになるのかな。しかし一つ一つは短いお話ながら、ぎゅっと中身が詰まったバラエティに富んだミステリで、とても楽しく読めます。

 例えばコンピュータの0と1の話になると、情報処理の分野では○○○という数はよく使用されるキリのよい数字だとか、ちょっと専門的なことが出てきたりしてびっくりしたり。そうかと思えば魚拓なんて渋い趣味の話もあり、あるいはフルウイッグとかレッドヘリングとか、また聞いたこともないグッチーなんて言葉もでてきて、へええ、と感心することが多かったです。パロポ族やソフィスティケイテッド・レディーもネットで調べてみました。その中で一番嬉しかったのが、黒糖モンブランを食べるシーンが出てきたこと。食べたことがなかったので検索しまくって、いつか食べてやるぞと決意したという。

 というように、可愛くて美味しくて楽しいお話がいっぱい詰まった一冊でした。

 え? 謎のほうはどうだったかって? ははは、難しすぎてちっとも判らなかったです。
『亡霊島の地下迷宮 マジカルストーンを探せ! Part4 』 関田涙 講談社青い鳥文庫 
2008.08.14.Thu / 03:09 
亡霊島の地下迷宮 マジカルストーンを探せ! Part4 (講談社青い鳥文庫 261-4)亡霊島の地下迷宮 マジカルストーンを探せ! Part4 (講談社青い鳥文庫 261-4)
(2008/08/09)
関田 涙

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 第28回メフィスト賞作家関田涙氏が少年少女たちにおくるファンタジー作品、「マジカルストーンを探せ!」のPart4。

 海辺で「助けて」という手紙が入ったメッセージボトルを拾った日向は、月乃と一緒に亡霊島に渡ることにした。どうやらここに5つ目のマジカルストーンである土の石を持った少年が閉じ込められているらしい。暗くてジメジメして、おまけに化け物やガイコツまでいる監禁場所から、果たして二人は少年を救い出せるのだろうか。

 このシリーズも4冊目になって、ますますパワーアップしてきたように感じる。今回はファンタジーというだけでなく、タイトルに「亡霊島」とか「地下迷宮」なんて言葉が踊っているように、ぐんとホラーテイストもあって、まさに夏の読書にぴったりだった。

 わたしはいい大人なので最近はほとんど児童書なんて読まないのだが、関田氏のこのシリーズだけは楽しみに読ませてもらっている。とにかく二人の会話が可愛いのが良い。子供の読むものだからそんなことは当たり前だろう、と大人は思うかもしれないが、さらりと気持ちよく読める本というのは、意外と少ないのである。

 日向と月乃の友情は少年少女の憧れだろうと思うし、ちょっぴり嫌な奴に書いてある悪役にしたって、結局のところ、しょうがないなあと思うのだから、読んでいても気持ちがいいのである。主役も脇役も、要するに登場人物全員が魅力的なのだ。きっと相当神経を使って書いたのではないかと思う。それほど誰もが生き生きとしているしキャラが立っているのだ。これにはちょっとびっくりした。マジカルストーンの土の石の意味にもグッときたなあ。

 そして、まるで読者に挑戦状をつきつけるかのように、次から次に出している謎やクイズ。これが素晴らしい。こんなふうに畳みかけるよう出してくるのだって、とことん最後まで楽しんで読ませたいと思うからだろう。さすが本格ミステリ作家である。トリックのアイディアは半端ではないし、独創的でユニークなのである。これには唸ってしまった。ほんとうに、小さいお友達だけが読むのは勿体ないと思う。

 毎回出される数の問題にしてもそう。こんどこそ解いてやろうと、紙と鉛筆を用意までして頑張ってたのだが、またしてもやられてしまった。それも、将来はミステリ作家を志望しているとはいえ、子供の月乃に簡単に解かれてしまうのだから、唇を噛み締めてしまったじゃないか。ま、わたしはミステリ作家になりたいわけではないので、子供に負けたところで悔しくもなんともないが。(これを、世間では負け惜しみという。ははは)

 というわけで、児童書といえども侮れないのである。逆転につぐ逆転もあり、お楽しみも満載の本書である。

 どうぞ、この夏休みは大人も子供と一緒に楽しんでくださいね。

 あっ、と。そうそう、今回のカバーイラストは今まで一番良かったです。動きもあって、キャラがとても可愛らしかったです。本文のカットも良かったですねえ。

 お薦め。
『夢泥棒と黄金伝説 マジカルストーンを探せ! Part3』 関田涙 講談社青い鳥文庫 
2008.03.20.Thu / 13:58 
夢泥棒と黄金伝説 マジカルストーンを探せ! Part3 (講談社青い鳥文庫 261-3)夢泥棒と黄金伝説 マジカルストーンを探せ! Part3 (講談社青い鳥文庫 261-3)
(2008/03/15)
関田 涙

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  ★★★★★

 関田涙さんの児童書です。マジカルストーンを探せ!の Part3になります。

 シリーズ物だと、好みの登場人物も決まってきて、その子が活躍してくれないとガッカリするなんてことがよくあるのですが、関田さんの児童書は毎回、子供から大人までいろんなタイプの人物が出てくるので、そのたびごとにお気に入りの子が入れかわったりして、飽きることがありません。主役の日向と月乃はもちろんのこと、今回も、ナイスバディの(とは一言も書いてない)「マントの前は全開にはだけていて、なんとその下には黒い革の水着みたいなものしかつけてなかった」(おそらく作者の趣味だと思われる)「メラメラと燃えるような」赤い髪の毛をしている夢の世界の住人が出てきたりするもんだから、ひええ、と嬉しくなってしまいました。怪盗ヴォックスの一番弟子だと威張っていましたが、残念なことにプロローグで退場してしまっていました。イラストまで載せてあるくらいだから、きっと作者のお気に入りだと思います。次回はもう少し出てくれるんじゃないでしょうか。他にも、とても愛らしいタヌキの赤ちゃんが出てきたり、金髪のカワイコちゃんが出てきたりと、ずいぶん楽しませてもらいました。

 さて、なぜタヌキなんて出てきたかといえば、4つ目のマジカルストーン「金の石」が、「黄金のタヌキ像」のデベソにくっついていたからです。今までにも、マジカルストーンを巡って、全国あちこちと出かけて行きましたが、今回は日向の母親の郷里にある狸弁寺へと向かいます。予知夢で絶体絶命に陥った日向は、それを避けるために三日以内に「金の石」を手に入れなくてはならなくなったからです。タヌキ像のありかを示した地図は、偶然にも日向の母親が持っていたのですが、残念ながらその3分の1でした。3枚の地図を手に入れ、200年前の暗号を解かないといけません。お宝マニアには跡をつけられるし、金髪のカワイコちゃんは「お金」のことばかりだし、寺の孫はオタクのようで頼りないし、挙句の果てにタヌキの赤ちゃんには懐かれるし、果たして日向たちは怪盗ヴォックスよりも早くタヌキ像を手に入れることができるのでしょうか。

 暗号の解読もさることながら、たびたび出てくる謎解きがひとときの憩いとなりました。そのどれもがとてもよく出来ていたのにはびっくりしました。一番好きだったのが、数の問題です。125の倍数が1000というのはしょっちゅう使っているので無意識に使えるのですが、16の倍数は使っていても意識したことはなかったので8000にも馴染みがあったのに、問題の数が100万単位だったため頭が真っ白になってしまって、咄嗟に答えられなかったのは本当に悔しかったです。あと、お宝のありかが正三角形になるというのですが、これはすごかったです。立体かなと思ったのですが、なるほど、この手がありましたね。こういうゲーム性のある本というのは、小学生の方にはとても楽しめるんではないでしょうか。

 月乃の落ち着いた雰囲気で謎を解いていく様子も好きでしたが、やはり日向の向こう見ずだけど活発で優しい行動には、頑張ってと、つい応援してしまいます。ほかの登場人物たちも、どの子も生き生きとした会話をして楽しませくれました。とくに金髪のカワイコちゃんのセリフ回しにはのけぞってしまうほど楽しかったです。ぜひ次も登場してほしいものです。そこに、ハンサムな少年が絡んできたりしてくれると、もっと楽しくなるんじゃないでしょうか。

 可愛らしいイラストを見ながら、楽しい謎解きができて、本当にうきうきするほど可愛らしい登場人物たちでした。次の作品にも取りかかっているようですので、また二人がいろいろと活躍してくれることでしょう。楽しみにしております。

 小学生や中学生のお友達にもぜひ読んでいただきたいです。

 お薦めします。
『怪盗ヴォックスの挑戦状 マジカルストーンを探せ !Part2』 関田涙 講談社 
2007.04.19.Thu / 07:49 
怪盗ヴォックスの挑戦状 マジカルストーンを探せ !Part2 怪盗ヴォックスの挑戦状 マジカルストーンを探せ !Part2
関田 涙 (2007/04/14)
講談社
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  ★★★★★

 関田さんの児童書です。続きを楽しみにしていたマジカルストーンシリーズですが、意外と(?)早く出してくれて嬉しいです。日向と月乃の小学生の名コンビが活躍するシリーズです。人間の夢を作っているという7つのマジカルストーンを探していく話ですが、彼女たち登場人物がみんないい人たちで気持ちよく読めます。可愛いだけではなくてトリックがしっかりしていて、きちんとミステリーしてるのでとても面白いです。
 
 前回、怪盗ヴォックスに日向がうしろ回し蹴りを与えて〈月の石〉を取り戻してやれやれと一安心していたら、三つ目のマジカルストーン「水の石」を必ずいただくと、今度は怪盗ヴォックスからの挑戦状が。ヴォックスの犯行を阻止しようとクラスメイトの片本くんと一緒に三人は「サイクロプスの森」にある豪邸に出向いていきます。そこは片本くんのいとこの屋敷。七水という、とても綺麗な子がいたんだけど、この子、どうも意地悪で性格が悪そう。言うことにいちいちムカついたりと、なにかと前途多難の二人。だけど、私立探偵や警備員がいるところから犯行時刻ちょうどに石を盗み出すのは、さすがのヴォックスも不可能じゃないの? ところがなんと、みんなが見ている前から石が消えてしまう。一体どうやって盗んだのかしら???
 
 ますます面白くなってきました。7つの石がすべて集まるまで楽しみですね。さて今回のマジカルストーンですが、ちょっと意地悪な子が出てきたり、博多弁を使う探偵がいたり、もっと楽しかったのは某美少女名探偵が大学生になって出てくれたりと、いろいろと面白かったです。暗号やトリックは、おお、と思ったのですが、ヴォックスの変装はすぐ見破れますよね。これはご愛嬌、かな。いや、どう考えても一人しかいないです(笑)。一つだけわからないままなのがありましたね。これはシリーズの最後にわかるのでしょうか。


ななつのいし××どくろの
かいぶつがめざ×しと××かいを×くう

 
「七つの石、ドクロの怪物がメザシと貝を食う……ですか?」
 で、早く次を出してくださいね。 
▽Open more.
『晩餐は「檻」のなかで』 関田涙 原書房 
2007.02.26.Mon / 02:30 
晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)晩餐は「檻」のなかで (ミステリー・リーグ)
(2007/02)
関田 涙

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  ★★★★★

 うひゃー!面白かった。面白かった。もう滅茶苦茶面白かったよお。
 
 社会派ハードボイルド作家・錫井(すずい)イサミ。「デビューはしたものの、鳴かず飛ばずで、読者からも文壇からも忘れられつつある(というか、そもそも全く知られていない)作家」の日常生活のパートと、その彼がリアルタイムで書いていく本格ミステリーの作中作のパートが交互に語られる。
 
 とにかく本格ミステリということで、どんなことをしても謎を暴いてやる、という意気込みも満々で読み出す。今まで、関田さんの本格ミステリ作品で真犯人が判らなかったことはないと豪語するものの、敵(?)も然る者で一筋縄ではいかない作品を書いてくるから、油断は禁物。しかし、この作中作、滅多やたらと小難しくできている。文章が端正だからなおさら難しく感じるのか、「カメ」「イヌ」「サル」「クマ」「ヘビ」「ヤギ」「トラ」というコードネームを持った7人の男女が喧々諤々、誰が殺人犯の「トラ」なのかを推理していく様子を読んでいくのは正直、厄介だった。
 
 だからか、一方の、作家の錫井のパートは砕けすぎるぐらい砕けた文体で、たまらんぐらい面白かった。文学論をぶってみたり、ネットで書かれたことを話してみたり、挙句の果てに、挿○(自主規制)まで出てくる始末。ここまで開き直ってくれると、いっそ清々しいものがある。とくに関田さんと掲示板で話したことを思い出したりするものだから、錫井と関田さんが被ってしまって、恐ろしいことに同化してしまいそうになった。そうじゃないと打ち消すのにどんだけ苦労したか。始終にやついてしまって危ない人のようになっていたよ。いやほんとに。何度吹いたかわからない。いやあ、こんなにおいしい展開になっているとは思ってもみなかった。ありがとう関田さん。
 
 ところで作中作のほうだが、「檻」のなかでやる「仇討ちゲーム」の真相は早々に諦めた。ただ探偵役の「サル」が誰だかは見当がついていたのだが。まあ、他のことは伏線があったのかどうかさえ怪しくなり、勘でしか答えられないというのでは、これはもうリタイアするしかない。しかし、一番肝心な作品の肝は見破っていた。と、そっくり返って高笑いしていたんだよ。
 
 そ、それが……。
 うぎゃー!そうきたか。むむむ。

 はい、予想の遥か上をいった結末でございました。そして確かに、朝日のように爽やかな清々しいラストでございました。はい。
 
 超おすすめ。

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『マジカルストーンを探せ!月の降る島』 関田涙 講談社 
2006.10.20.Fri / 14:29 
マジカルストーンを探せ! 月の降る島 (講談社青い鳥文庫)マジカルストーンを探せ! 月の降る島 (講談社青い鳥文庫)
(2006/10/14)
関田 涙

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  ★★★★★

 面白かった。

 意外だった、と言うと失礼にあたるかもしれないが、関田さんから青い鳥文庫から出すことになったと聞いたとき、「え? 児童文学で有名な、あそこから? 大丈夫かしら」と思ったのは、内緒。第一、不思議な宝石の「マジカルストーン」というネーミングからして安直というかそのまんまというか、ひねりが無くて、子供たちに受けるのかしら、と思ったものだが、これがマジカルでマジカルなストーリーで良かった。とくに「月の降る島」という副題が、ロマンティックで、まるで読者に夢を与えてくれるように、この物語にピッタリ。

 怪盗ヴォックスが登場すると聞いていたので、謎解きを手土産にどんだけ暴れまわってくれるのかしらと思っていたら、あらら、この人の正体自体がミステリだったのね。ま、最後まで正体が判らなかったよ。ていうか、伏線はあったのか。ままま、こんなのはどうでもいい。大事なのはマジカルストーン〈月の石〉が無くなってしまったということ。怪盗ヴォックスの仕業だが、全人類の夢を作りだしているというこれが無くなったら、人は夢を見なくなるのだ。空手のチャンピオンになる夢やミステリー作家になる私たちの夢もなくなっちゃうの? というので、日向と月乃の二人は、〈月の石〉争奪戦ゲームに参加してマジカルストーンを取り戻そうとする。

 とまあ、元気いっぱいの日向とお嬢様タイプの月乃。小学5年生の可愛い女の子が出てきて可愛らしいだけのお話のようだが、登場人物が大人から子供までいろんなタイプが出てくるので、大人の読者でもとても楽しめる。つかみもバッチシ。「全身、虹色のピチッとしたタイツ姿」のピエールと、「白と黒のしま模様で、ベレー帽をかぶったブタみたいな生きもの」であるバクのハツには笑ってしまった。とくに、立ったまま眠っているハツのユニークさは抜群。また出してほしい。

 ミステリとしてはどうかといえば、これが意外と本格的でかなりてこずってしまう。関田さんの本でこれほど判らなかったのは初めてではないだろうか。つうか、今の小学生にとってはこれくらいはなんでもないゲームなんだろうか。いやほんと、難問だった。ていうか、勘でしか判らないような奇問もあったよね。

 ところで、青い鳥文庫といえば、可愛い挿絵がついた子供向けの本だと連想される方が多いと思うが、これがあなどれないのだ。奥が深い。実際、子供たちに人気のある本ばかりなのだが、今回の作品は小学中級からなっているので、お子様がいらっしゃる方にぜひお薦めしたい。

 こんな謎、すぐわかっちゃったよ、というつわものがいたら是非教えていただきたい。師匠と呼ばせていただきます。

▽Open more.
* テーマ:読書感想文 - ジャンル:小説・文学 *
『エルの終わらない夏』 関田涙 講談社 
2005.06.09.Thu / 14:41 
エルの終わらない夏エルの終わらない夏
(2005/06/07)
関田 涙

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  ★★★★★

 こんなに切ないのにこんなに涙が溢れるのにハッピーエンドと思うのは初めてかもしれない。

 読み終わって第一章の「エルの呼ぶ世界」に戻ってみました。プラットホームに降り立ったなんの変哲もない夏の眩しい描写。初読とは一転して景色は瞬く間に色づきはじめます。そして、これから17歳の荏瑠(エル)の終わらない夏が始まると思うと涙が溢れてきて字が霞んでしまいます。

 下手をすると地味にしかならないかもしれない押さえた筆致。その静謐な文章が荏瑠の孤独を浮かび上がらせ、世界はこんなにも美しいものだと気づかせてくれます。

 ネタが分かりトリックが分かっても、その一歩も二歩も先をいっていた世界です。17年前に起こった殺人現場からの父の失踪。それからもっと過去に遡れば母が5歳のときに起こった祖父母の殺された事件。そして現在もまた荏瑠の周りで起こる事件。それらが、時を越えて繋がっていきます。

 荏瑠の前にときどき現れる謎の少女・ウラニア。背丈も年齢も同じくらいで、顔の輪郭も似通っている不思議な少女。明るくてとろけるような双眸を持ち、荏瑠とは正反対の明るい性格を持ったこの少女は一体どんな目的で荏瑠の前に現れたのでしょうか。その意味するところはなんでしょうか。

 地味な荏瑠とは違って、ウラニアの軽やかなお喋りは、この作品を少しだけ華やいだものにしてくれます。そうそう、もう一人いましたね。高校1年の和倉誠です。誠といえばヴィッキーシリーズの主役(?)ですね。同じ名前ですが、その誠と関連があるかは読んでからのお楽しみです。性格も明るくてちょっとイイ感じなのです。私は『刹那の魔女の冒険』の最後に載っている「プロローグ」のラストを思い出して嬉しくなってしまいました。そういえば関田さんの構想ん?年の洋菓子も出てきました。ああ、これだったのですね。

 なんだか纏まりのない感想になってしまいましたが、とにかく素敵な作品です。今回は前三作とは随分感じが違っていて、本格や新本格を期待される方にとっては、首が傾くかもしれませんが、それでもそんなことなんか関係ないくらいに面白くすいすい読めますし、なにより作品の雰囲気が抜群に良いです。これを書いている間も思い出しては涙がこぼれそうになるくらいですから。そして再読する楽しみが待っていますね。

 お薦めです。
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 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 感想でいらした方は、カテゴリの[国内海外]の感想をクリックしていただくと日付順に表示されますので見やすいかと思います。
 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
 メールアドレス
yokonetjp*yahoo.co.jp(*を@に変えてください。)

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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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