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 辻村深月 の記事一覧
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『ロードムービー』 辻村深月 講談社 
2008.11.05.Wed / 23:02 
ロードムービーロードムービー
(2008/10/24)
辻村 深月

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 泣いた。表題作の「ロードムービー」の演説には、ぼろぼろ泣いた。

 しかも驚いた。こんな仕掛けがあったなんて。驚いて、そしてまた、感動してしまった。

 どのお話もほんとうによかった。懐かしくて胸が温かくなるのだ。

 『冷たい校舎の時は止まる』の過去と未来の話である。読み終えてみると、あの高校時代からずいぶん経ったんだなあ、と思ったり、こんな小さい頃があったんだなあ、と思うのである。

 しかし、何の先入観もなく読んでみると、登場人物が謎だったり、その後を知りたいと思う場面がでてくると思う。そんな、少々物足りなかったな、と思う人はこの後に『冷たい校舎の時は止まる』を読んで安心すればいいのである。ここにみんながいる、ということに気づくはずだ。そして、ああ、やっぱりあの二人は結婚するのね、と嬉しくなるのである。

 お薦め。
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『名前探しの放課後』 辻村深月 講談社 
2008.02.27.Wed / 16:29 
名前探しの放課後(上)名前探しの放課後(上)
(2007/12/21)
辻村 深月

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名前探しの放課後(下)名前探しの放課後(下)
(2007/12/21)
辻村 深月

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  ★★★★★

 やはり辻村の学園モノは面白い。大好きだ。どれくらい好きかというと、仕事からとっとと帰ってきてご飯なんて食べないで読んでいたいと思うほど好きだ。

 物語は、ある日、主人公の男子高校生が、突然それに気がついたことから始まる。撤去されたはずの『PUB 秘密の花園』の看板がジャスコにあるということに。頭の中に鋭い痛みが走り、胸に微かな違和感が生まれた。どうやら自分は三ヶ月前にタイムスリップしたようだと。何故自分が選ばれたのかはわからないが、自殺したクラスメートを救うためらしい。自殺者の性別も名前もわからなかったが、決断は早かった。親友に協力を求め、女生徒らにもお願いし、また全国模試ランキングに載る生徒まで雇って、なんとしてでも探し出し、タイムリミットのクリスマスイヴまで説得を試みようと奮闘する。

 辻村は過去作品の登場人物とリンクさせていることが多い。なぜそんなしち面倒臭いことをするのか分からないのだが、毎回やり込められているわたしは、よっぽどノートに名前を書き出して整理しておこうと決意したほどだ。それくらい肝心な出来事に以前の人物が係わってくるのだから始末に負えない。じつは今回もリンクされていた。しかも物語の大もとのところでやられていたのには参った。正直に言えば、これは反則だと思うし、初読み読者には不親切としか言いようがない。といっても、読んでいる最中はちっとも気づかないでいるのだからお目出度いとしか言いようがないのだが。しかも過去作の内容もすでに忘却の彼方にあるのだから、いっそ開き直るしかないというものだ。そんなわけで、辻村作品をすべて読んでいるにもかかわらず、真っ白い気持ちで読んでみたわたしだった。ま、単に頭を使うのが面倒だったからと言えるのだが。

 しかし、それが正解だったようである。

 早い段階から偶然に自殺者と思われる人物がわかるのだが、どうやらいじめを受けているらしいと。金をむしり取られ、殴られて蹴られて、体育館に閉じ込められる。この男子生徒、ムカつくほど嫌な態度をとるし、物言いはいちいち頭にくることばかり。実際、これではいじめにあうのも仕方がないとも思う。だが皆、忍耐強く接していく。主人公は水泳を教え、綺麗なフォームで泳いでいじめっ子を見返させようとするし、また他の彼らもそんな主人公を助け、一緒にご飯を食べたり、勉強をしたりする。ここまでしてあげるのだからその男子生徒が徐々に心を開いていくのも当然であろう。

 さて、こんな風に大半のページを割いて高校生の青春がつらつらと語られていく。名前トリックとか、過去作品とのリンクとか、登場人物のリンクとか、SF的展開とか、そんなことは一切考えないで、遠く過ぎ去った高校時代を懐かしむ気持ちと一緒に読んでいった。この主人公はいい子だとか。この女生徒は可愛くなくてムカつくとか。主人公の親友はなんで「くん」とか「ちゃん」を付けるのだろうかとか。いじめっ子には心底ムカムカするし。全体の絵を描いた生徒会長志願の彼はさすが全国模試の常連だけあるよなあ、とか。読んでいてこれほど楽しいことはなかった。

 そしてあるページが目に入ったのである。途端に、一瞬にして涙がこぼれ落ちてしまった。反転なのである。これ以上はネタバレになるので書けないが、ものの見事にやられてしまった。学園モノでうるうるしながら読んできたが、これはないと思った。うるうるどころではないのである。滂沱である。ただしエピローグは完全に蛇足。その前の病院のシーンも、これはいただけない。いやほんと、他作品をすっかり忘れていたからこの感動があったのだと自画自賛した。ということで、リンクはほどほどに。

 お薦め。
『スロウハイツの神様』 辻村深月 講談社 
2007.03.15.Thu / 11:35 
スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)
(2007/01/12)
辻村 深月

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スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)スロウハイツの神様(下) (講談社ノベルス)
(2007/01/12)
辻村 深月

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  ★★★★★

 「チヨダ・コーキの小説のせいで人が死んだ」 猟奇的なファンによって、作品を模倣した大量殺人が行われた。それから十年。売れっ子脚本家・赤羽環は、クリエイターを目指している友人達に声をかけ、チヨダ・コーキと共に「スロウハイツ」での共同生活を始めた。しかし幸せな日々は、ロリータファッションを身にまとった新たな入居者、加々美莉々亜の出現によってゆっくりと変化を始める。
 
 とびっきりの恋愛小説だった。それは、なんと言うことのない日常の日々が綿々と綴られていくだけなのに、こんな素敵な物語ができるんだなあ、という感じなのである。辻村は、登場人物の一人ひとりを丁寧に書き込むことによって、最後の最後で感動させるすべを知っているのだ。至るところに散りばめられた小さな謎が、最終章の「二十代の千代田公輝は死にたかった」で綺麗に回収される。その見事さに震えるほどの感動を覚えてしまうのだ。「お久しぶりです」という言葉。この何気ない言葉が極上の言葉となり、この物語を読めた幸せをしみじみ思うのだった。ああ、彼のこの想いを書きたかったのだな、と。いつも思うのだが、辻村は切り札を使うのが本当に巧い。
 
 いや、色々と突っ込みたいところはある。あるのだが、しかし、そんなことはどうでもいいくらい素敵な物語だった。まったくのおとぎ話として読ませてもらったというのもあるのだが、この丹念に紡いでいったエピソードがラストで綺麗に纏まっていくのは、登場人物の彼らと同じように嬉しかった。
 確かに、人物描写が巧くなったといっても、性格が綺麗すぎたり、生活圏が狭かったり、ご都合主義的だったり。あるいは、狩野壮太の目線で語られていても、赤羽環とチヨダ・コーキと狩野壮太の、誰が主人公なのかわからなくて戸惑ったりすることもある。だが隅々まで丁寧に記述していく手法は、読み手の想像力の幅を広げ、こんな気持ちをまだ持っていたのかと、嬉しくさえさせてくれる。無駄だと思う記述があったり、どうでもいい人物が出てきたり、また他の作品とリンクした人物まで出てきて、ごちゃごちゃした感はあっても、あらゆる伏線がラストへ向かって加速的に収束していくさまは、感動すら覚えるのだ。だから、わたしは辻村の作品が好きだし、いつまでも追っていきたいと思うのである。
 
 お薦め。
『ぼくのメジャースプーン』 辻村深月 講談社 
2006.04.10.Mon / 13:11 
ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
(2006/04/07)
辻村 深月

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  ★★★★☆

 主人公の「ぼく」は小学四年生。不思議な力を持っている「ぼく」は、幼なじみのふみちゃんを救うために、ある決意をする。うさぎ殺しの犯人に罰を与えることを決めた「ぼく」の七日間が始まる。

 すごいですね。辻村深月の物語を創る力は本当にすごい。まだ小学四年生の「ぼく」の心の中にあるものを容赦なくさらけ出し、次から次と畳み掛けて読者を引っ張っていく力は感動すら覚えます。

 「ぼく」の特殊能力の使い方が、この小説の重要な要素なんでしょうが、申し訳ない、この部分に関しては秋山教授の話がとても小学四年生を相手としているとは思えないほど難しく、またその遣り取りが間怠っこしくてついていけなかったです。もともと論理的な議論というものが苦手なので、ちょっと引いてしまいました。もっとも、秋山教授自身はとても素敵な先生ですけどね。ファンです。

 それよりも、やはり小学生の友達関係に注目してしまいます。このあたりの心理描写は群を抜いて巧いです。

 頭が良くて、何でも出来て、性格の良いふみちゃん。だけど眼鏡をかけていて、歯の矯正器具を入れているふみちゃんはちょっぴり自分に自信がない。そんなふみちゃんの気持ちの心細さが切ない。この素敵な女の子が友達にどんな風に思われているのか。主人公の「ぼく」は、ふみちゃんのことをどんな風に思っているのか。最後の最後でふみちゃんが話してくれた「あのとき」のこと。「ぼく」が能力を使ったと言って悩んでいた「あのとき」の真実は、本当に素敵な話として心が震えます。この部分は現代っ子にぜひ読んでほしいと思うところです。

 『子供たちは夜と遊ぶ』と繋がっていますので、懐かしい人達がでてきます。あのときの彼女の元気な姿を見られて安心しました。

 こうしてリンクしていくのは楽しいですね。そしてラストの衝撃と感動を求めて、これからも辻村作品を追いかけていこうと思います。

 とても面白かったです。
▽Open more.
『凍りのくじら』 辻村深月 講談社 
2005.11.15.Tue / 01:23 
凍りのくじら (講談社ノベルス)凍りのくじら (講談社ノベルス)
(2005/11)
辻村 深月

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  ★★★★★

 本を閉じてこれほど余韻のある感動で胸いっぱいにしてくれた本は久しぶりです。幾度となくうるうるしていた涙が、クライマックスでは我慢できなかった。そんな素敵な、『ドラえもん』を愛する、高校二年生の理帆子の、“少し不思議”な物語です。

 青春小説、とりわけ十代の感情表現が抜群に巧い作者が、今回は女の子の視点で書いてくれました。高校生という年代はとても不安定な要素がたくさんあって、とても自分一人では背負いきれないところがあるでように思います。理帆子も同じでした。カメラマンの父は失踪して5年が経ち、母は余命2年と宣告されてその時期が迫っている。入院中の母を見舞っても心はだんだんと沈んでいくし、だから友だちと遊んでいてもどこか覚めていて、何事にも夢中になれない。しかもそんな自分を自覚している。遊びといえば、藤子・F・不二雄先生が遺した言葉である「SF(すこし・ふしぎ)」をもじってスコシ・ナントカをいつも頭の中に置いて楽しんでいるような、ちょっと変わった読書好きの女の子。そういう理帆子の平凡な日常がずっと続いていきます。

 傍から見ると、どうしてそんな簡単なこともわからないんだろうとイライラすることがたくさんあります。私にとって、理帆子は決して頭の良い子ではなかった。それは勉強ができるとか勉強ができないとか、そういうものとはもちろん違います。だけど、不安定な環境だからこそ、物事をきちんと見極めてほしいと思うのです。なかなか難しいのだけど。そんな、自分では上手く生きていると思っていた理帆子の周りで、事態は少しずつ変化していきます。

 こういう何気ない日常生活に伏線を置いて、徐々にクライマックスにもっていく構成は相変わらず巧い。ミステリとしては、それほど期待できるものではないですが、物語全体を通して、不安感いっぱいに漂う不安定さは、十代の心理描写を読んでいくうえで非常に効果的でした。そしてこの作品をミステリアスでファンタジックなものにしてくれていました。

 終盤は完全に物語に没頭してしまって、クライマックスである母から娘へのラブレターには号泣でした。父と母と、そして娘の、少し不思議な家族の物語。読み終わったあとは、やっぱり『ドラえもん』を読みたくなったし、本当に大好きな小説になりました。

 お薦めです。

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はてなに一度アップしたものです。
そのときにコメントとトラックバックをいただきましたので、続きに載せておきます。
▽Open more.
『子どもたちは夜と遊ぶ』 辻村深月 講談社 
2005.06.28.Tue / 12:59 
子どもたちは夜と遊ぶ(上)子どもたちは夜と遊ぶ(上)
(2005/05/10)
辻村 深月

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子どもたちは夜と遊ぶ (下)子どもたちは夜と遊ぶ (下)
(2005/05/10)
辻村 深月

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  ★★★★

 面白かったです。この作家好きなのでなんでも受け入れちゃいます。はい。

 すみませんね。今日は腰がとんでもなく痛いので感想が変です。あらすじも腰が痛くて面倒なので書きません。ま、一言でいうなら、女子大生悲恋殺人鬼事件でしょうか。ん?それで大丈夫か?

 上下巻二段組700頁以上ありますからね。もういつ読み終わるかと不安でしょうがなかったです。「上」を読んでいるときは、なんだかちっとも進展しなくて退屈だなあと思っていると巧い具合に所々ハッとする興味深いエピソードがあったりして、結構面白かったです。だけど「下」はもうなんとしてでも気合を入れて読まなければいつ読了となるかわからないという切羽詰った事情と、ぎっくり腰のような腰の痛さに泣きながら、ひぃひぃ言って読みました。
ところが「下」のほうは、少々もたついてなかなか進まなかった「上」が嘘のように、いきなり面白くなってきて、あっという間に読み終えることができました。やれやれ。

 でも、ミステリを読んでいるというより、人間関係の難しさを心理描写たっぷりと延々と読まされるという感じですか。

 大学生と院生の話ですが、まるで女子高のノリで、友達付き合いの大変さを妙に細かく書いてくれてます。

 ええ、萌えました。懐かしかったです。

 こういう話は涎が出るくらいに(夢中で読むと自然と口が開いてくるのですよ)大好きなのでわくわくしましたね。

 ところでヒロイン月子ですが、いかにも優等生タイプの子で、作者としてはちょっと変わった設定をしてるつもりでしょうが、それが完全に滑っていて周りの男子からちやほやされているだけ面白味のない女の子でした。他の女の子も似たり寄ったりで、作者はこういう女の子が好きなのねと思わずにはいられませんでしたね。

 それに比べてただ一人でしたが、紫乃という自分勝手で妄想癖の困ったチャンがこの小説のスパイスになっていて面白かったです。でも人物の内面を書くのが非常に巧いので、この次は女子高のぐちゃぐちゃした人間関係を書いてほしいものです。

 ミステリについても一応書いておきましょうか。
 ネタは面白いです。
 倒叙になっていますので殺人者の視点で書かれているところは成る程と思うところもあるのですが、如何せん説得力に欠けます。もちろん犯人に同情するところもありますが、ただこんな理由で次々と殺人を犯すかなあというのがついて回ってラストが心配でした。が、真相が判って少しビックリでしたね。それと共に妙に納得してしまいました。

 ところで、C大というのは千葉大ですね。ここの「飛び入学」には以前から興味があったのですが、この制度について誰でも同じように考えてるというのが分かって面白かったです。作者は身近なネタを書くのが好きなようですね。教育学部もそうでしたし。

 まあ、いろいろ楽しませてもらいました。面白かったです。ああ、腰が痛い。
▽Open more.
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 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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