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 桐野夏生 の記事一覧
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『女神記』 桐野夏生 角川書店 
2009.01.10.Sat / 14:24 
女神記 (新・世界の神話)女神記 (新・世界の神話)
(2008/11/29)
桐野 夏生

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 面白い。

 が、なんとも報われない話であった。

 結局のところ、裏切られ、傷ついた女神は、男神に復讐をして満足したのであろうか。自分とは全く係わり合いのない超越したところの話なので、いくらそれが男女の愛憎を描いていても、所詮は他人事。

 神話ということであっさりした記述が意外と合っているのだが、桐野夏生のどろどろした話は、やはり現代的なほうが面白い。
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『東京島』 桐野夏生 新潮社 
2008.06.03.Tue / 14:55 
東京島東京島
(2008/05)
桐野 夏生

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  ★★★★★

 無人島に漂着した31人の男と1人の女は、いったいどんな生活を送っていたのか。それを読むのは死ぬほど面白かった。こんなに面白いものがあるのかと、生きてて良かったと本気で思った。

 文明生活を享受し、それをまったく有り難みもなく疑問にも思わない自分自身を振り返るとき、蛇を素手で捕まえぶんぶん振り回しながら皮を裂き、奇妙な色をした巨大トカゲが美味だと追い回し、蟻を食べ、ジャングルの中でダニや虫に刺されながら裸で走り回り、風呂にも入ることなく垢が皮膚を覆い、挙句の果てに黴菌にやられて目が潰れ、食中毒で死んでいくような生活を5年以上も続けた彼らの、生への執着には圧倒されてしまった。

 人間の欲とはこれほどのものなのか。物に溢れいるときにはわからないものが、極限状態に置かれると、途端にその姿を剥き出しにしてくる。それは性欲であり食欲である。生きのびて島から脱出できるのかどうかの極限状態にあるのだ。あれは出来るがこれは出来ないなどと考えていたのでは、死んでいくしかないのである。いやしかし、果たして自分も同じように出来るのかと自問自答してみても、島でただ1人の女である清子には到底かなわないのだった。清子の、女を武器に男と渡り合っていく度胸と厚かましさには、ほとほと感心するしかなかった。

 漂流して5年経った今、清子は46歳になっていた。夫を決める籤引きが今年もある。誰よりも太っていたし、年取っていたが、いつだってどこだって清子は主役だった。男は清子の機嫌をとり、奪い合い、果ては殺し合いまでした。

 この小説は、無人島のサバイバル生活を読むのではない。なぜなら、まるでリアリティーがないからである。設定は荒唐無稽だし信憑性は皆無だし、妄想の域を脱してないのだ。言ってみれば、ファンタジーなのである。しかもラストの軽さは如何ともしがたい。纏まりすぎてあっさりしすぎているせいか、ちょっと拍子抜けなのである。しかし桐野がそんなことに重きを置いてないのは確かである。要は、閉ざされた世界で人間はどう生きるのかということだ。

 大勢いた男達はストーカーのような奴や発狂する者、一人ひとりのエピソードはやじ馬的興味はあるが、ろくな男しかいない。そんな中で、たった1人の女であった清子のすごさである。彼女の、いかにして生き延びていこうとするのか、その強かさと計算高さである。もちろん女の嫌な面がとことん出ているのだが、命を繋いでいくという、その行動力と本能の前には平伏すしかないのだった。

 お薦め。


 追記 2008/07/06 23:58
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「粋な提案」 http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-503.html
『OUT』 桐野夏生 講談社文庫 
2007.08.15.Wed / 18:43 
OUT 上  講談社文庫 き 32-3OUT 上 講談社文庫 き 32-3
(2002/06)
桐野 夏生

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OUT 下  講談社文庫 き 32-4OUT 下 講談社文庫 き 32-4
(2002/06)
桐野 夏生

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  ★★★★
 
 猛暑の中、汗だらだらでテニスなんてやったのが悪かったのか、目が腫れてきてコンタクトができなくなってしまった。何をするのも不自由でいけない。ドール遊びも出来なくなったのでリハビリを兼ねて本書を再読。(ということで星の評価はほとんど意味がないです。)

 バラバラ事件なんてどうでもよかったし、グロい描写は「げー」となるのは分かっているし、4人の女達にも大して興味がなかったので再読するのもアレだったのだが、ひょっとしたら彼女たちの境遇について、興味の対象が変わったのではないかと思って読んでみた。

 面白かったのはやはり、深夜、駐車場から弁当工場に向かう女達の素顔や工場内の描写。白い作業衣を着て、帽子にマスクとエプロンをつけた後、手と腕をブラシで洗って消毒液に漬けて、タイムカードを押して作業靴を履いて工場内へ入っていく様子。このあたりの描写は何度も出てきて、へええ、となって興味深い。その後のベルトコンベアで運ばれてくるものを詰める作業も面白い。深夜12時から朝の5時半までの立ちづめの過酷な仕事だ。よくこんな仕事ができるなあ、と感心したり、やればわたしでも出来るんだろうかと、いや無理だろ、と気持ちがあちこちに乱れて、読んでいてやっぱり面白い。

 そして一番気になった人物が、50半ば過ぎの寡婦、ヨシエ。「師匠」と仲間内で頼りにされていても、実際のヨシエはそんなに強いわけじゃない。寝たきりの姑の看護をして、細切れの睡眠で身体がぼろぼろになりながらも、お金のために頑張る姿は哀しい。このヨシエの姿は胸に迫るものがある。看護だけでも相当にきついのに、人はどこまで頑張れるのだろうか。ロボットじゃないんだから、こんなことやってたらいつか倒れるよ、と言ってやりたい。

 ああ、そういえば、終盤の雅子と佐竹と関係はやはり蛇足だとしか思えない。

『メタボラ』 桐野夏生 朝日新聞社 
2007.05.14.Mon / 00:25 
メタボラメタボラ
(2007/05/08)
桐野 夏生

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 秀作である。
 
 2006年に朝日新聞の朝刊に連載されていた作品だった。友人からとにかく面白いから読んだほうが良いと勧められていたが、桐野作品は一気に読んだほうが心の痛手が少なくて済むと思い我慢した。イラストが素晴らしかったので読みたいとは思っていたのだが。さて我慢した甲斐があったのかなかったのか、読んでいる最中の面白さは半端ではなかった。沖縄を舞台にこれほど読み応えがある小説も久しぶりだった。とにかく目が離せないのである。600ページのボリューム、一筋縄ではいかないことはわかっていたが、今時の問題をここまでぎゅうぎゅうに詰め込んでいるとは思わなかった。愛と希望と絶望を軸に、ドメスティック・バイオレンス、ネグレクト、フリーター、バックパッカー、集団自殺等、あるいは、必死に生きようとしているのに希望のない、一番下の下で働き、急に仕事がなくなったって文句を言えない立場にいる、いわば社会の弱者について描いていくのである。ニートという存在も考えさせられるのだが、請負労働、とくにワーキング・プア問題については、なるほど人はこうして貧困になっていくのかと切実なものを感じた。
 
 冒頭、いきなり引きつけられるのである。真夜中、やんばるのジャングルを彷徨ってひたすら走っている〈僕〉がいる。「悪夢なら早く覚めてくれ…シダを掻き分け、苔で足を滑らせ、老木の幹を掴んでは、無用に樹皮を剥がす。…気が狂いそうになるほど怖いのに、あらゆるものに行く手を阻まれた〈僕〉は、脱出を賭けて、ひたすらもがいていた。」
 
 このジャングルでの描写の素晴らしさには感服してしまう。〈僕〉が何者なのか分からないし、何から逃げているのか分からないのだが、いつまでもいつまでも〈僕〉に絡み付いている恐怖にゾッとして、これから始まる物語にいやがうえにも期待が高まってゆく。このとき、無一文の〈僕〉は“独立塾”を脱走してきた若者と暗い山中で出会い、お互いに自覚しあいながら共鳴するように物語は進んで行くのである。この物語は、この二人の若者を中心に〈メタボラ〉する、新しい自分が古い自分に取って代わっていく話である。
 
 二人がどんな生活をしていくのか書いてしまうと、折角の話が興ざめしてしまうだろう。なので、あまり予備知識を入れないで読んでほしい。出会って、別れて、自分探しの旅に出るという長い話である。正直に言えば、途中、どこかで読んだ話もあったりして退屈なところがあったりする。ここまで引っ張ることはないのではないだろうと思う部分もある。また放りっぱなしのようなラストも気になる。が、そんなことを捻じ伏せて読ませてきた桐野の想いには感動すら覚えるのだった。ラストの唐突さには、賛否両論があるだろう。はっきりと書いてないのだから仕方がない。だが、このラストシーンが好きだし、感動してじんときたのも本当だ。これこそが文学ではないだろうか。
 
 お薦め。
『アンボス・ムンドス』 桐野夏生 文芸春秋 
2005.10.25.Tue / 13:33 
アンボス・ムンドスアンボス・ムンドス
(2005/10/14)
桐野 夏生

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  ★★★★★

 さすが悪意を描かせたら天下一品の桐野夏生です。その冴えた筆致は素晴らしい。ひょっとしたら誰もが思い当たるかもしれない、胸の奥にしまい込んでいる無意識の憎悪。それをじわじわと出してくる想像力には参りました。読み始めたら、胸の奥がぞわぞわとしてきて、目が離せなくなってしまい、気がついたら貪るように読んでいました。

 オール讀物等に6年間にわたって書かれた7つの短編が収録されています。

 主人公は女。幅広い年代の女性が登場してきますが、心の奥になにがしかの不満を抱えている女たちばかりです。桐野氏は、内面の描写が素晴らしいのは言うまでもないのですが、外見の美醜のリアリティには唸るものがあります。しかも今回は、外見と性を併せて描くことで、結婚生活やセックスに対する考え方をあぶり出しているのが凄かったです。

 臭いと言われながら、おどおどと常に人の目を気にしながら働いている、汗っかきの太った女が出てきます。家に帰っても、兄嫁らに占領されている狭い家では、寛ぐことも出来ない。キスもセックスもしたことがない彼女は、こうして一日が過ぎてゆくことに焦りを感じ、鬱憤は日々溜まっていきます。しかし彼女は思い出したのです。昔、ある事件に関わっていて、自分が世の中の中心であったことを。

 他人が自分をどう見ているのか。それは誰しも気になるところです。不細工で取り柄がなくてお金もなくて、ないない尽くしの自分は一体どうすればいいのだろうか。桐野氏の小説を読むと、自分の内面が引きずり出されてくるようでギョっとします。まあ、これが快感といえば快感になるのですが。

 男の主人公もいました。若くしてホームレスになってしまった彼。気弱な性格で、猫にも相手にされない男だが、やはりセックスはしたいという厚かましい奴。でも運よく、ちゃらんぽらんな宿無しギャルとやることが出来ても、もやもやした気持ちが晴れることはない。まあそれは、そんなもんでしょう。日がな一日、睨まれながらも図書館で過ごす彼は、一体どこへ向かうのでしょうか。ホームレスと図書館。う~ん、本読みにとっては他人事ではないですね。

 のんびりしたセックス描写と思っていたら、そのものズバリの内容もありましたね。これはもう読んでからのお楽しみですが、いやはや度肝を抜かれました。いい歳をした女三人による打ち明け話ですからそれはもう恐れ入りました。三人が三人とも揃って凄い内容でしたが、その中でも、最後の彼女の話には、引っくり返りそうになりました。

 そうそう、長い間不倫をしている女が、なんでこの私がこんな目に合わなきゃいけないのよ、と開き直る話もありましたね。
 もう一つ不倫の話があったのは偶然でしょうか。

 その中で、私が最も好きだったのが「浮島の森」です。
 これは秀逸です。

 幸か不幸か、作家の娘に生まれてきて、そしてまた幸か不幸か一緒に暮らせなくなり、達観しているようで諦めきれない様々な想い。その葛藤はいかほどのものか。
 まさに我を忘れてのめり込む様にして読みました。文学史上において有名な事件を下敷きにして作られた作品です。

 表題作の「アンボス・ムンドス」もモデルとなった事件があったようですが、桐野氏にかかると違った側面からみせられ、小学生の複雑にして奇怪な思惑にゾッとしてしまったものです。
どの作品も素晴らしくて満足して読み終えることができました。
▽Open more.
『魂萌え!』 桐野夏生 毎日新聞社 
2005.04.27.Wed / 22:31 
魂萌え !魂萌え !
(2005/04/21)
桐野 夏生

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  ★★★★★

 いや、とにもかくにも素晴らしいとしか言いようがありません。ここ最近の桐野作品の中で最高の出来だと思います。これは紛れもなく傑作です。

 もちろん各年代によって感じ方、受け取り方は違うでしょう。ですが、これから先の自分の人生を考えてみるのもいいではありませんか。人は誰でも平等に歳を取り、死んでいくのです。そのとき、残された人間は、たった一人で老いを生きていかなくてはならないときもあるのです。

 夫に急死された敏子さん、五十九歳がそうでした。

 敏子は、五十九歳という、もうじき還暦を迎えようとする年齢。この年齢は、若者からみたら、老人を思ったりするものですが、当人たちは案外気持ちは若いし、体力もあるし、隠居するにはまだ早い、中途半端な年齢なのです。敏子の友達にしてもそうです。美奈子は現役の主婦だし、和世はセレクトショップのオーナー。そして栄子は今が遊び盛りとばかりに出歩いている積極的な女性。この女性達を見ていると五十九歳なんてまだまだ若いなあ、と思うのでした。

 では、敏子はどうでしょうか。今までは、家事育児に専念して、貞淑な妻であり、やりたいことも我慢し、家事労働に勤しむ専業主婦だった敏子です。そんな敏子が、さあこれから夫と共に人生を楽しんでいこうとした矢先に、心の支えであった伴侶を失ってしまうのです。その喪失感たるものやいかばかりでしょうか。
孤独感が敏子を襲います。

 自分が産んで育て、愛おしくて堪らない存在だった子供たち。彼らは敏子を孤独から救ってくれるでしょうか。学生時代から親しくしており、いつもお喋りして旅行したりもする友人たちは、敏子の気持ちを理解してくれるでしょうか。

 世事に疎くて、人と争うことが嫌いで自己主張をしない、どこにでもいるような主婦、敏子。遺産相続で子供たちと溝ができたりして、またそんな中で夫の秘密を知り、だんだんと悲しみや憎しみなど、強い負の感情が胸の裡に湧き上がってくるのでした。やがて敏子の言動に変化が表れてきますが、そうした様子が行間から滲み出ています。さすが桐野夏生です。このへんのリアリティはもの凄いものがあります。

 まさに、敏子と一緒になって悩んだり、傷ついたり、嫌悪感を募らせたりと、まるで自分の将来を見ている気分になるのでした。

 ラストでは、今まで隠していた心情を語ります。そのシーンが圧巻です。仲間の前で、自分の胸の裡をすべて吐露する敏子ですが、よくぞここまで成長したな、という思いでいっぱいになりました。何はともあれ、これからの人生を上手く生きてゆくのではないでしょうか。 

 敏子さんにエールを送りたいと思います。
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 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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