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2005年08月の記事一覧
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『HOMETOWN ホームタウン』 小路幸也 幻冬舎 
2005.08.29.Mon / 12:58 
ホームタウンホームタウン
(2005/08)
小路 幸也

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  ★★★★☆

 中学生の時のある事件のせいで、家も家族もすべて失ってしまい故郷を離れなくてはならなかった主人公が再び故郷へ向かわなくてはならなかった、そんな家族探しともいえる物語です。

 札幌の百貨店に勤める主人公の行島征人。まだ27歳の彼が、デパートでは役付きの部長。ここで彼は特殊な仕事をしています。この設定がいかにもヒーロー物のようで格好いいです。

 物語は、いつもの穏やかな日常の一こまから始まります。主人公の影にはちらちらと不安が付き纏っていますが、まだ何も始まっていません。

 そこへ、何年も会ってなかった妹の木実から、結婚するという手紙をもらいます。ここからこの物語は動き出します。二つの失踪が同時に起こります。一人は結婚も決まって幸せのはずの妹。もう一人は、征人と同じデパートに勤務している、妹の婚約者である青山です。

 征人は彼らを探すために、十年以上も帰らなかった故郷の旭川へ向かうことになります。どんな理由で故郷を後にしなくてはならなかったのか、それはまだわからないのですが、どんな理由にせよ家族が離れ離れにならなくてはならないというのは、そして親がその理由であるなら、子供にとってこれほど辛いことはないのです。

 征人の、淡々と話す内容は、時にはドキリとすることもあり、またほろりとなってしまって考え込んでしまいました。親はどんなときでも子供を守らなくてはならないのです。ずっと〈家族〉というものを追い求めていた征人の、数々のエピソードはこの物語に深みを与えてくれます。

 とにかく征人の性格が良いですね。ひょっとしたら暗くなってしまうだけかもしれない話なのに、そうはならなかったのは、この征人の性格のお蔭です。小路さんの書く人物に悪い人はいません。今回も、ちょっと理由ありの人やヤクザが出来てきますが、そんな人達も決して嫌な感じがしない。どころかユーモラスでさえあるのです。誰もが皆優しいのです。これは読んでいて非常に嬉しいことです。

 私は、征人が故郷の街で久しぶりに再会した場面で、不覚にも涙がでてきてちょっと慌ててしまいました。決して大袈裟に書いてはいません。ですが、少ない文字数に込められた想いにやられてしまったのです。

 じわじわと真相に近づいていく傍らで、征人の周りで助けてくれる人達。家族には恵まれなかったかもしれませんが、征人の傍にはいつでも家族同様の人達がいました。心の中にはいつでも暗い想いがあったかもしれない征人でしたが、これからは妹と共に吹っ切れて上手く生きてゆけるのではないでしょうか。いつまでもじんわりと心に残る話となりました。

 お薦めです。

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『I LOVE YOU』 伊坂幸太郎、石田衣良、市川拓司、中田永一、中村航、本多孝好 祥伝社 
2005.08.15.Mon / 20:30 
I love youI love you
(2005/07)
伊坂 幸太郎石田 衣良

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  ★★★★☆

 男性作家による恋愛アンソロジーです。

 大満足です。

 もう一気読みです。

 競作ですので、他の作家はどんなふうに書いているんだろうと好奇心バリバリで読みました。

 以下簡単にコメントをしておきます。

 伊坂幸太郎「透明ポーラーベア」
 とにかく伊坂作品そのものです。ですが、私は好きではありません。またしても文体が肌に合わないのです。カッコの使い方に疑問が残りますし、多すぎます。初めての方が伊坂作品のためだけにこの本を買うというのはお勧めできません。
リンクのことを考えましたが分かりませんでした。

 石田衣良「魔法のボタン」
 大好きな作品です。
 男っぽい女性が、精一杯女らしくしようとする女心が、傍で見ていても泣けてきます。よくある話でしょうが、石田衣良が書くと洒落たラブストーリーになってくるから不思議です。巧いですね。ラストの幸福感がこちらまで伝わってきていいですね。

 市川拓司「卒業写真」
 一番出来がよくないです。これだけの良作揃いの中にあって、残念ですが浮いています。内容もさることながら、とにかく会話文が稚拙です。でもそういうところが好きだって言う人もいるかもしれませんね。市川拓司のファンの方とか。

 中田永一「百瀬、こっちを向いて」
 例の噂の方ですね。
 ははあ、出だしからいきなりそれらしいですね。
 普通の小説でした。
 すみません。四人の登場人物の誰にも感情移入できませんでした。唯一、相原君のたった一人の友人である田辺のセリフには感動してしまいましたが。
 「僕は知りたいよ。きみが感じている今の感情。(中略)」
 いいなあ~。切ないなあ。

 中村航「突き抜けろ」
 もう断然いいです。素晴らしいです。言葉がありません。
 星10個くらいあげてもいいです。
 とにかく文体が魅力的なのです。
 まったく恋愛なんかどうでもいいと言わんばかりの突き抜けた内容。
 惚れました。
 他の作品も是非読みたいです。

 本多孝好「Sidewalk Talk」
 ページ数も少なくて、それほど魅力がある作品ではないのですが、やはりきっちり押さえた内容は捨てがたいです。ラストに本多孝好を持ってきたのは正解でしょう。余韻が残ります。
▽Open more.
『ロマンティスト狂い咲き』 小川勝己 早川書房 
2005.08.07.Sun / 22:14 
ロマンティスト狂い咲き (ハヤカワ・ミステリワールド)ロマンティスト狂い咲き (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2005/07/21)
小川 勝己

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  ★★★

 ああ、この星の数は当てになりません。取り敢えずいい加減に付けました。というのも、出だしからずう~~~っと面白くて、もうこれは星五つは間違いないだろうと思っていたからです。

 ところが、だあー、もお。どうしようもなくぐちゃぐちゃに迷走してしまって、とんでもない代物になっていました。いつもこんな風になるのでしたら、ちょっと考えてしまいますね。でもファンの方にはこういうのが当たり前ですごく面白いのでしょうか。折角面白い作品になりそうでしたのにこれが作風でしたら、本当に残念です。

 作者はこういう破滅型のノワール小説がお好きなのでしょうか。同じように脳みそを撒き散らすのでしたら、私はやはり新堂冬樹のほうが好きです。それは必然性を持って書いてあるので読んでいて逆に楽しめるからです。

 純愛小説ということですが、どこが純愛なのでしょうか。ただセックスに溺れているアホ女が出てくるだけです。恋愛にすらなっていません。どうしようもない駄目な中年男とノータリンな女が逃走します。

 初めての作家さんです。
 なので、この方が今までどんな作品を書いてきたのか全く分からないまま読み始めました。少しホラーテイストがあるというのは訊いたことがありましたので、どこかでおどろおどろしい場面になっていくのかと身構えて読んだのは確かです。

 出だしはめちゃめちゃ好みです。上手いですね。
 作家と編集者の会話なんて、もともとグッとくる設定ですから、ここからして好みです。で、この場面での会話が実に面白い。書き飛ばし専門の三流作家と大手出版社の編集者です。なんか不思議な組み合わせですね。その売れない作家が店内のスタイル抜群のウェイトレスをちらちら横目で見ながら話をするのですから、普通の小説になろうはずがありません。しかもそのウェイトレスに似ているのが、編集者の美人妻というのですから、ますますもって何か起こりそうな予感がします。

 ああ、ほんと。途中まではものすごく面白かったのですよ。
 途中から、まさに狂い咲き。殺人と逃亡生活になってしまって、一体作者は何を書きたかったのか謎です。

 他の作品が全てこんな風だと読む気がしません。
 何かお薦め作品があったら教えてください。
 文章がすごく好みなのです。勿体ないです。
▽Open more.
『蒲公英草紙 常野物語』 恩田陸 集英社 
2005.08.03.Wed / 21:48 
蒲公英草紙―常野物語 (常野物語)蒲公英草紙―常野物語 (常野物語)
(2005/06)
恩田 陸

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  ★★★★★

 二十世紀を迎えようとしている明治時代の、福島にある「槙村」という集落で、ひとりの女の子の目から見たその頃の懐かしい日々が語られています。「蒲公英草紙」と名づけられたその日記に、村の医者の娘である峰子が、槙村家の生活やそこに滞在している人達の様子を淡々と綴っていくのです。

 恩田陸の静謐な文章が、当時の幸せだった日々を色鮮やかに思い出させてくれ、主人公峰子の郷愁に満ちた想いが読んでいるこちらにもひしひしと伝わってきます。

 副題に「常野物語」とついていますので『光の帝国』の続編かと思いましたが、この話のずっと前の、常野という不思議な力を持った一族に関わりのあるお屋敷のお嬢様の話でした。
不思議な力というと、どうしてもファンタジー色が出てきますが、この話の中ではそれが違和感なく自然に語られ、そして最後にはそれを感動話にもっていってくれたことに素晴らしさを感じます。

 この一冊でも充分に堪能できますので、恩田陸の良さが出ているこの作品を是非手に取っていただきたいと思います。

 おすすめです。
▽Open more.
『死神の精度』 伊坂幸太郎 文芸春秋 
2005.08.02.Tue / 19:58 
死神の精度死神の精度
(2005/06/28)
伊坂 幸太郎

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  ★★★★★

 やられました。

 「ウッドストック1979」の紅蓮魔さんの書評(http://gurenma.exblog.jp/1212412/)に圧倒されて、何よりも楽しみにしていた作品です。

 伊坂はここ最近『アヒルと鴨のコインロッカー』辺りから、軽妙さを前面に出してきているように感じられて、私の好みからはだんだんと懸け離れていっていました。作家生活に慣れてきたせいなのでしょうか、何の気負いもなく書けるというのは、利点ではあります。ですが、文体といい、内容といい、こちらの遥か彼方で語られる言葉は常に違和感が付き纏ってしまって心から楽しむことが出来なかったと言うのも本当です。

 それでも『チルドレン』では、その軽妙さが陣内というスパイスで面白さに変わり、それぞれの登場人物が生身の人間として身近に感じられて楽しむことができました。ところが、『グラスホッパー』で又しても、ついて行くことが出来ないものになってしまっていたのです。これは作家との温度差があったためでしょうか。

 さて、この『死神の精度』ですが、もうすでに紅蓮魔さんが的確に批評されているので今更何も申し上げることはありません。

 死神を通して淡々と語られる6つの短編集は、一つ一つが完成度の高い味付けになっており、オチも綺麗に決まって心地よい余韻を残しております。伊坂らしいといえば、そうだと言えますし、逆にまた今までの伊坂とは少し違ったきっちりとした話の運び方は、はっきりとしたイメージとして頭の中に描くことができ、物語をとても楽しむことができたのです。人間ではない死神という、少し高みの視点から語られる冷めた言葉は、一歩引いた目で見ることができたので、却って登場人物たちを生き生きと動かせてくれました。

 とくに最後の作品である「死神対老女」が絶品でした。伊坂の文章から、温度とか空気を感じ、周りの景色が鮮やかに浮かんでくるとは思いませんでした。読んでいるうちに、迂闊にも泣きそうになってしまいました。

 伊坂作品の中では一番好きな作品となりました。

 紅蓮魔さんにはこれをTBさせていただきます。
▽Open more.
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 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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