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2005年10月の記事一覧
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『そして名探偵は生まれた』 歌野晶午 祥伝社 
2005.10.30.Sun / 00:52 
そして名探偵は生まれたそして名探偵は生まれた
(2005/10)
歌野 晶午

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  ★★★★

 既刊の中編「生存者、一名」と「館という名の楽園」、そして今回書下ろしの「そして名探偵は生まれた」を含む作品群です。「無人島」「館」「密室」でのトリックを扱ったものかと思いましたが、少し違っていましたね。どれも犯人が誰であるのかを問題にしているのではなかったです。犯行の動機、あるいは理由が重要な意味をもっていました。

 すべて初読みでしたが、一番面白く感じられたのが、「生存者、一名」です。「館という名の楽園」はまあ、こんなものでしょう、といった感じでしょうか。そして最悪なのが、今回の書き下ろし作品の「そして名探偵は生まれた」です。

 ところが、もう一度読んでみたいと思わせてくれる作品といえば、不思議に思うのですが、なんと壁に投げつけたくなった「そして名探偵は生まれた」です。そして、やっぱり「館という名の楽園」も再確認してみたい作品です。

 で、結論から言えば、歌野ファンは「そして名探偵は生まれた」を読むためだけでも本書を購入する価値がありますね。

 え?先日の評価から正反対の感想ですって?

 ごめんねごめんねごめんね。

 だって最後まで読んだら感想が変わるってよくあることでしょ?

 で、面白かった「生存者、一名」の感想をネタバレで書いておきます。

 未読の方は絶対にここからは読まないでくださいね。
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短編「そして名探偵は生まれた」  歌野晶午 
2005.10.26.Wed / 00:18 
そして名探偵は生まれたそして名探偵は生まれた
(2005/10)
歌野 晶午

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  ★

 はあ~!?

 ああぁぁぁ。

 歌野晶午の『そして名探偵は生まれた』の中篇三編の中で、今回書き下ろしされた表題作を読みました。

 歌野氏ですからね。どの辺で吃驚させてくれるのかと、わくわくしながら読み進めていきました。

 雪の密室殺人事件ですか。

 そうなれば、もちろん建物トリックがありますね。名探偵とその助手という設定からしてミステリの王道をいくのでしょう。という先入観を植え付けられ、いい感じで読んでいくわけですよ。

 名探偵のキャラがいいですね。助手は、まあその辺に転がっている軽い感じのヤツです。どのあたりで面白く、いえ、それより本格ミステリとしてはどのへんからそれらしくなるのかと思いながら、しょうもない謎解きを読むのですよ。

 そして、ラスト。

 「……」

 はい。壁に投げつけたくなるくらい、面白かったです。

 皆さんも読んでくださいね。

 それじゃあ、また。
『アンボス・ムンドス』 桐野夏生 文芸春秋 
2005.10.25.Tue / 13:33 
アンボス・ムンドスアンボス・ムンドス
(2005/10/14)
桐野 夏生

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  ★★★★★

 さすが悪意を描かせたら天下一品の桐野夏生です。その冴えた筆致は素晴らしい。ひょっとしたら誰もが思い当たるかもしれない、胸の奥にしまい込んでいる無意識の憎悪。それをじわじわと出してくる想像力には参りました。読み始めたら、胸の奥がぞわぞわとしてきて、目が離せなくなってしまい、気がついたら貪るように読んでいました。

 オール讀物等に6年間にわたって書かれた7つの短編が収録されています。

 主人公は女。幅広い年代の女性が登場してきますが、心の奥になにがしかの不満を抱えている女たちばかりです。桐野氏は、内面の描写が素晴らしいのは言うまでもないのですが、外見の美醜のリアリティには唸るものがあります。しかも今回は、外見と性を併せて描くことで、結婚生活やセックスに対する考え方をあぶり出しているのが凄かったです。

 臭いと言われながら、おどおどと常に人の目を気にしながら働いている、汗っかきの太った女が出てきます。家に帰っても、兄嫁らに占領されている狭い家では、寛ぐことも出来ない。キスもセックスもしたことがない彼女は、こうして一日が過ぎてゆくことに焦りを感じ、鬱憤は日々溜まっていきます。しかし彼女は思い出したのです。昔、ある事件に関わっていて、自分が世の中の中心であったことを。

 他人が自分をどう見ているのか。それは誰しも気になるところです。不細工で取り柄がなくてお金もなくて、ないない尽くしの自分は一体どうすればいいのだろうか。桐野氏の小説を読むと、自分の内面が引きずり出されてくるようでギョっとします。まあ、これが快感といえば快感になるのですが。

 男の主人公もいました。若くしてホームレスになってしまった彼。気弱な性格で、猫にも相手にされない男だが、やはりセックスはしたいという厚かましい奴。でも運よく、ちゃらんぽらんな宿無しギャルとやることが出来ても、もやもやした気持ちが晴れることはない。まあそれは、そんなもんでしょう。日がな一日、睨まれながらも図書館で過ごす彼は、一体どこへ向かうのでしょうか。ホームレスと図書館。う~ん、本読みにとっては他人事ではないですね。

 のんびりしたセックス描写と思っていたら、そのものズバリの内容もありましたね。これはもう読んでからのお楽しみですが、いやはや度肝を抜かれました。いい歳をした女三人による打ち明け話ですからそれはもう恐れ入りました。三人が三人とも揃って凄い内容でしたが、その中でも、最後の彼女の話には、引っくり返りそうになりました。

 そうそう、長い間不倫をしている女が、なんでこの私がこんな目に合わなきゃいけないのよ、と開き直る話もありましたね。
 もう一つ不倫の話があったのは偶然でしょうか。

 その中で、私が最も好きだったのが「浮島の森」です。
 これは秀逸です。

 幸か不幸か、作家の娘に生まれてきて、そしてまた幸か不幸か一緒に暮らせなくなり、達観しているようで諦めきれない様々な想い。その葛藤はいかほどのものか。
 まさに我を忘れてのめり込む様にして読みました。文学史上において有名な事件を下敷きにして作られた作品です。

 表題作の「アンボス・ムンドス」もモデルとなった事件があったようですが、桐野氏にかかると違った側面からみせられ、小学生の複雑にして奇怪な思惑にゾッとしてしまったものです。
どの作品も素晴らしくて満足して読み終えることができました。
▽Open more.
『汝らその総ての悪を』 倉阪鬼一郎  河出書房新社 
2005.10.15.Sat / 13:36 
汝らその総ての悪を汝らその総ての悪を
(2005/09)
倉阪 鬼一郎

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  ★★★★☆

 幻想小説にして怪奇小説です。

 ストーリーと呼べるものがあるのかそれすらも怪しいのですが、向かうところは唯ひとつです。

 少年と少女、それぞれが抱えている誰にも明かしたことない秘密。自身にもまだはっきりとはわからないこの秘密がだんだんと大きくなっていく。その無意識の暗黒部分が膨らんでいき残酷さに手を染めていくのです。

 ホラースプラッタなみに性描写と残酷描写がエスカレートしていきますが、そこにあるのはあまりにもあっけらかんとした表情であるので、まったく不愉快になることはなく、逆に目が離せなくなるのです。

 旧約聖書の文語訳を引用した、ほとんど狂気じみた描写は電波系のようであり、意味するところはわかりかねるのですが、美しい言葉とリズムでぐいぐいと読ませてくれるのはさすがです。

 ラストで秘密がなんであったのか少年は気づくのですが、そんなものはあって無きがごときであり、読者はすべてを納得して本を閉じることができるのでした。

 ファンには堪らない魅力ある一作でしょう。
▽Open more.
『少女には向かない職業』 桜庭一樹 東京創元社 
2005.10.15.Sat / 10:24 
少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)少女には向かない職業 (ミステリ・フロンティア)
(2005/09/22)
桜庭 一樹

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  ★★★★★

 いい。これは、いい。めちゃくちゃ好みです。

 今回はこの★の評価とこの感想だけで勘弁してほしいと思いました。というほど、桜庭一樹を知りません。もちろん初読みです。皆さんがどうも大好きなようなので、私も読んでみました。いやあ、もうびっくり。巧いです。少女と少女の、また別の少女との気持ちの触れ合い場面なんて巧すぎて、うれしくなってきました。

 桜庭さんて、女性なんでしょうか。とにかく、思春期の彼女達の不安定さがもろに表れていて、読んでいて頬が緩んできてしょうがなかったです。前半がとくに楽しい。こんなことを言うと、なんだ不謹慎な、と怒る方もいらっしゃるかもしれませんね。つまりは、そういうことです。この話は、少女には向かない殺人の話でした。

 ミステリ的には、どうなんでしょうか。謎解きを楽しむというものではないでしょうが、出だしの一文である「中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、人をふたり殺した。」という、このインパクトある一文ですっかり気持ちは、本当に中学二年の葵は殺人を犯したのだろうかという方へ向かってしまいましたね。家族に恵まれない環境にある、痛々しい葵。その筆致は素晴らしく、殺人へと向かう気持ちが痛いほど伝わってきます。葵と、葵に殺人をけしかける、“さつじんしゃ”こと宮乃下静香。静香が言うところの、殺人に「用意するものは…」という見出しがじつにいいです。

 二人の行動が用意周到のようにみえて、意外と行き当たりばったりの様子がちょっと笑えます。ところが、このへんから事態はますますシリアスになってきて真実はどこに隠されているのかと疑うことになります。ラストについては、全くなにも言えませんが、まあ星の数で判断してもらいましょうか。

 閑話休題。

 場所が、山口県下関市の沖合いにある大きな島となっていますが、なぜか標準語を喋っています。大きな島と聞いて、私はすぐに彦島を思い浮かべました。学生時代の友人二人がこの彦島から通ってきていたのですね。この二人、なぜか美人でした。しかもめちゃくちゃ仲が良かったのです。そう、まるでこの小説の中の二人のようでしたね。もうちょっと歳がいっていましたが。勉強するという名目で家にお邪魔したこともありました。ああ、いい思い出です。
そんなことを思い出しながら読んでいると、気持ちは遥か昔に戻って、女子中高の頃の少女独特の感情を思い出しました。そんな懐かしい気持ちを思い出させてくれる桜庭一樹の文は、巧いです。もともと私は、ラノベやジュブナイルは好きではないのですが、しかも青春小説が苦手というのもあって評価がすごく厳しくなるのですが、この本はそんなことを露とも感じさせないほど素晴らしかったです。ぜひ今度こそ『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』を読んでみようと思いましたね。

 面白かったです。
『獣たちの庭園』 ジェフリー・ディーヴァー 文藝春秋 
2005.10.12.Wed / 18:56 
獣たちの庭園 (文春文庫)獣たちの庭園 (文春文庫)
(2005/09/02)
ジェフリー・ディーヴァー

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  ★★★★

 660ページは、な、長かった。

 1936年。ナチの時代。オリンピック開催に沸き立つベルリンに、ナチの高官暗殺の使命を帯びたニューヨークの殺し屋が潜入する。

 スパイ・サスペンスものと思って読んでいたら、これは歴史小説でした。もちろん上質のエンターテインメントでもあるので、読後感が非常に良いです。

 ナチス・ドイツのどろどろした内幕や、当時のドイツ市民の生活がどんなに息苦しいものであったのか、一人の優秀なヒットマンの目を通して考えさせてくれます。

 この男、教養はないけど知性、体力ともども抜群のものを備えており、殺し屋としては超一流。またこの男を送り出したほうも、気遣いたっぷり用意周到でなかなか好意的。そんなバッチリした設定にも拘わらず事態はあれやこれやと、思いもかけない方へどんどん変化していきます。面白い。

 また、彼を追い詰めていく刑事警察(クリポ)の警視が、家庭人であり良心的であるというのが良い。却って、物語に緊迫感を与えてくれます。

 で、暗殺されるほうの高官はとみると、これまた好人物。そんな誰も彼もがいい人ばかりの生ぬるい人物設定は、ディ-ヴァーのいつものことです。そしてそれに騙されるのも、いつものことです。

 今回はジェットコースターのような胸躍るという展開ではなかったですが、ディーヴァーお得意のどんでん返しはもちろんありましたし、歴史的背景を考えさせられたりと、やはりディーヴァーの話は面白かったです。

 ラストは、ちょっと嬉しい人物が出てきて、ほっとした気持ちになって本を閉じることができました。良かったです。
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 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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