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2005年11月の記事一覧
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『魔王』 伊坂幸太郎 講談社 
2005.11.23.Wed / 20:23 
魔王魔王
(2005/10/20)
伊坂 幸太郎

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  ★★★★★

 これは傑作です。

 とくに「魔王」は、伊坂幸太郎の最高傑作です。

 「魔王」と「呼吸」の二つの中編からなってきます。「魔王」のまるでこちらに対決を迫っているような圧倒するほど読み応えのある作品と、それとはまるで正反対のように適度に肩の力が抜けた「魔王」の後日談である、清々しい作品の「呼吸」。

 「魔王」は、他人の言葉を操れる腹話術を持った超能力者がファシズム政治と戦う物語。

 と言うと、なんとも荒唐無稽な物語のようですし、政治色の強い話のように思われるのですが、これが抜群に面白い。腹話術のように自分の言いたいことを相手に言わせることが出来る超能力というのがいいですね。こんな状況になったら自分ならこんな風に言うのに、と思うことはよくあるでしょう。吃驚するほどの思わぬ効果があって、周囲は呆然唖然となったりして、そんな反応が愉快なんですよね。この力を持ったのが、学生の頃から政治や未来について考えていた若者。日々ファシズムについて考えている彼は、世の中がそれに向かっていくのを恐ろしいと思う。では、彼はその恐怖政治を阻止することができるのであろうかと、じわじわとその恐怖心がこちらに迫ってきて、読んでいるとだんだんと息苦しさを覚えるのです。

 日々流されるままに一日を送っている身とすれば、超能力者の彼がつぶやく「考えろ考えろマクガイバー」と繰り返す言葉はガツンと響いてきて、重くのしかかってきます。

 私は、伊坂作品の軽妙洒脱だけど何を言いたいのかよくわからない作品が嫌いでした。

 が、そういうのを取り払った、こういう心の中にストレートに伝わってくる骨太な作品はかなり好きです。読み終えるのが勿体ないと思ってじっくりと時間をかけて読んだ作品は本当に面白かったです。何度も繰り返す言葉はとても印象的であり、それに伴って間に挟まれる宮沢賢治の詩がとても巧い具合に染み込んできて、心を揺さぶられるのです。途中途中で色々と考えさせられることもあり、これがまたこの読書を単に息苦しいというだけではなくて楽しいものとしてくれたのが嬉しかったです。

 伊坂幸太郎には是非これで直木賞をとってもらいたいです。

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 追記

 忘れてましたが、これだけは言っておきたいです。装幀がダメダメです。どうしてシューベルトの『魔王』のように重々しいものに出来なかったのでしょうか。子供が考えたようなこんな軽い表紙に、もうガッカリです。それともブルーの円は青空を表しているのでしょうか。そして、魔王の白地は雲ですか?


 追追記

 そういえばあの人が出てきましたね。ほら、時折、会話が噛み合わなかったりするんだけど、音楽の話になると妙に目を輝かせて熱心に語る、あの人です。伊坂さんはこういうのをちゃんとやってくれるから好きです。
▽Open more.
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『ネクロポリス』 恩田陸 朝日新聞社 
2005.11.21.Mon / 21:41 
ネクロポリス 上ネクロポリス 上
(2005/10/13)
恩田 陸

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ネクロポリス 下ネクロポリス 下
(2005/10/13)
恩田 陸

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  ★★

 やっと読み終わりました。やれやれ。

 やっぱりファンタジーは私には合いませんね。読みやすいしサクサク読めちゃうのですが、如何せん、とにかく退屈。「ヒガン」というテーマはなかなか興味深いものがあるし、主人公は東大の人類学の博士課程ということだったので民俗学がらみの面白い話もあるかと期待して読んだのですが、言葉が並んでいるだけの薄い内容でしたね。八咫烏、鳥居、陰陽師、かごめかごめ、百物語、マヨイガ、観音島、補陀落山、ギリシア神話などなど。魅力的な言葉のオンパレードなんですが、ちらっと触れているだけでは気持ちの高ぶりはありません。物語の舞台設定や雰囲気は、異次元の世界に紛れ込んだようにわくわくするほど面白いので、これでは勿体なさ過ぎです。ちょっと詰め込みすぎましたか。

 解決編はやや急ぎすぎた感があって、あれ?これでもう終わりなの?という締まらない結末でしたね。

 年齢的にもこんな想像力豊かな世界に嵌ることは出来なくなってきたのでしょうか。ほんとに、この話が物凄く好きだという人が羨ましくてなりません。残念ですが私には合わなかった
 
 ということで、すみません。
▽Open more.
『グッドバイ―叔父殺人事件』 折原一 原書房 
2005.11.17.Thu / 09:04 
グッドバイ―叔父殺人事件 (ミステリー・リーグ)グッドバイ―叔父殺人事件 (ミステリー・リーグ)
(2005/11)
折原 一

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  ★★★★☆

 叔父がネットの集団自殺をしたという知らせに、叔母は偽装殺人だと疑い、「僕」に真相を探るように命じる。他の遺族の者に会いにいくたびに「僕」は監視されていることに気づく。「僕」は狙われているのか?

 くー。またしても騙されてしまいました。そして気持ちよく脱力。いつもの折原マジック全開でしたね。構成が凝っていたので、絶対ここに仕掛けがあるんだと思ってわくわくしながら読み進めていきました。

 まずカバーイラストの少年の絵と見返しのあらすじで完全に術中にはまってしまったところで敗北です。絵のセレクトとあらすじが巧すぎです。やーもう、完敗です。

 序幕の終わりで呟いている意味深な言葉。すべてはここから始まっています。叔父が死んだという冒頭部分から折原ワールドに取り込まれていきます。やはりこの雰囲気は好きですね。

 折原氏が描く人物はちょっと癖のある人が多いです。とくに可笑しな怪しい女性を描かせたら絶品です。この部分についてはあんまり言っちゃうと拙いのでこのくらいで。とにかく集団自殺志願者へのインタビューは面白かったです。

 今回の真相については「ふーん」で終わりましたが、折原氏の場合は「ふーん」というのは私の中では良い評価なのです。だいたいは怒り心頭の場合が多いからです。ついでに言うと、これは褒め言葉です。いつも騙されてばかりいますが、これが快感になっているのか、やっぱり新刊が出るとすぐに読みたくなる作家ですね。今回もすごく面白かったです。

----------- 
 参考までに昨年出版された『偽りの館―叔母殺人事件』の感想を読書ノートに書いてありましたので載せておきます。

 リーダビリティは抜群で物語にどんどん引き込まれて捲る手が止まらないのだが、途中から予想がつき、ちょっと退屈になっていった。だって楽しくないんだもん。特にラストは叔母が○○○○○というのが超むかついてしまったよ。
 あはははは。じゃあね。

追記
 ひとつは最初から判りました。ふっふっふ。
『凍りのくじら』 辻村深月 講談社 
2005.11.15.Tue / 01:23 
凍りのくじら (講談社ノベルス)凍りのくじら (講談社ノベルス)
(2005/11)
辻村 深月

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  ★★★★★

 本を閉じてこれほど余韻のある感動で胸いっぱいにしてくれた本は久しぶりです。幾度となくうるうるしていた涙が、クライマックスでは我慢できなかった。そんな素敵な、『ドラえもん』を愛する、高校二年生の理帆子の、“少し不思議”な物語です。

 青春小説、とりわけ十代の感情表現が抜群に巧い作者が、今回は女の子の視点で書いてくれました。高校生という年代はとても不安定な要素がたくさんあって、とても自分一人では背負いきれないところがあるでように思います。理帆子も同じでした。カメラマンの父は失踪して5年が経ち、母は余命2年と宣告されてその時期が迫っている。入院中の母を見舞っても心はだんだんと沈んでいくし、だから友だちと遊んでいてもどこか覚めていて、何事にも夢中になれない。しかもそんな自分を自覚している。遊びといえば、藤子・F・不二雄先生が遺した言葉である「SF(すこし・ふしぎ)」をもじってスコシ・ナントカをいつも頭の中に置いて楽しんでいるような、ちょっと変わった読書好きの女の子。そういう理帆子の平凡な日常がずっと続いていきます。

 傍から見ると、どうしてそんな簡単なこともわからないんだろうとイライラすることがたくさんあります。私にとって、理帆子は決して頭の良い子ではなかった。それは勉強ができるとか勉強ができないとか、そういうものとはもちろん違います。だけど、不安定な環境だからこそ、物事をきちんと見極めてほしいと思うのです。なかなか難しいのだけど。そんな、自分では上手く生きていると思っていた理帆子の周りで、事態は少しずつ変化していきます。

 こういう何気ない日常生活に伏線を置いて、徐々にクライマックスにもっていく構成は相変わらず巧い。ミステリとしては、それほど期待できるものではないですが、物語全体を通して、不安感いっぱいに漂う不安定さは、十代の心理描写を読んでいくうえで非常に効果的でした。そしてこの作品をミステリアスでファンタジックなものにしてくれていました。

 終盤は完全に物語に没頭してしまって、クライマックスである母から娘へのラブレターには号泣でした。父と母と、そして娘の、少し不思議な家族の物語。読み終わったあとは、やっぱり『ドラえもん』を読みたくなったし、本当に大好きな小説になりました。

 お薦めです。

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はてなに一度アップしたものです。
そのときにコメントとトラックバックをいただきましたので、続きに載せておきます。
▽Open more.
『あの日にドライブ』 荻原浩 光文社 
2005.11.01.Tue / 00:08 
あの日にドライブあの日にドライブ
(2005/10/20)
荻原 浩

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  ★★★☆

 タクシードライバー物語です。

 タクシードライバーとくれば、夢想ですね。と言っても、夢見るような楽しい話ではありません。あの時こうしていれば、もっと違った人生があったかもしれないという「たら」「れば」の話です。

 主人公の牧村伸郎は43歳。都銀のエリートコースをつつがなく歩いていたのに、ぽろっと口から出たひと言で辞めることになってしまう。上司への不服従は致命的であったのに、魔が差したとしか思えない。こういう自分の思惑とは別の何かが働いて、人生が思いもしないほうへ行ってしまうってことはよくあるんじゃないでしょうか。人生の転換期ってやつですね。牧村も、仮の宿としてしか思ってないタクシードライバーをしながら、大学生のときの恋人のことや就職してわりとすぐに辞表を出そうと思ったときのこと、あるいは今の家庭のこと、そういう人生の選択をしないといけなかった時のことを思い起こしながら、夢の世界に入っていきます。

 現実逃避が下地にあるのか、いつもの軽妙洒脱なテンポのよい文章ながら、出だしからなんとも気が滅入りそうな話が続きます。でも大丈夫です。主人公の牧村もだんだんタクシードライバーにも慣れてきて、何事も運だけでは駄目なんだ、機知と努力がものをいうんだ、と悟ってハンドルを握る手も軽やかになっていきますから。

 牧村の周りの人たちの人生を垣間見ても面白いですね。途中から、牧村自身のこれからが気になってしまって捲る手が止まらなかったです。

 こういうサラリーマンの、ちょっと重苦しいんだけど、でもやっぱりユーモアがある小説は、気軽に読めて良いです。現実と夢想の部分がちょっと混乱しましたが。爽やかな終わり方が好感がもてますね。
▽Open more.
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 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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yokonetjp*yahoo.co.jp(*を@に変えてください。)

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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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