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2005年12月の記事一覧
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『愛がいない部屋』 石田衣良 集英社 
2005.12.28.Wed / 18:39 
愛がいない部屋 愛がいない部屋
石田 衣良 (2005/12)
集英社
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 ビタースイートな恋愛短編集。

 タイトルが暗示しているように、どの作品にも痛いようなほろ苦さがある。だが、ふと自分の人生を振り返ってみたとき、辛いことばかりではなかったように、この小説の中にもきらきらとした甘い心地よさが残っている。
 
 東京神楽坂の高層マンションに住む人々の物語だ。
 石田衣良が描くと、どの世代の人々にも、どこかエロチシズムが漂いお洒落で甘い雰囲気がある。そんな人たちが織り成すちょっと不安定な感情は、きりきりとこちら側に伝わってきて、じんとしてしまう。そしてそれがもどかしくもあり、息苦しささえ感じてしまうものである。でもだからこそ、気になって気になって次々と読んでしまうのだった。

 一篇一篇が読み応えのある、珠玉の10篇だった。さすが石田衣良である。短篇は非常に巧い。

 「ホームシアター」「落ち葉焚き」「十七ヵ月」「愛がいない部屋」の4篇は、色々と考えさせられた。とくに、ニートである20才の息子のことを書いた「ホームシアター」が心に残った。
 
 引用するのは、未読の方に先入観を与えるので、好きではないのですが、父親の言葉が泣きたくなるくらい好きなので引用しておきますね。

 働かなくても、学校にいかなくても、仕事を探さなくても、いいじゃないか。要するに全部、経済のものさしで人をはかってるだけだろ。なにがニートだ。どこか外国の言葉をもってきて、シールを貼るみたいに人を分類する。おれはもうそういうのはたくさんだ。(本書93頁)

 おすすめ。

 読書日記に載せたものを文体を変えて再録しました。続きにそのときにいただいたコメントを載せておきます。ちょっと長いです(笑)。
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『セリヌンティウスの舟』 石持浅海 光文社 
2005.12.19.Mon / 22:57 
セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)セリヌンティウスの舟 (カッパノベルス)
(2005/10/20)
石持 浅海

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  ★★★★☆

 秀作です。

 200頁を本当に楽しみました。

 「青酸カリの瓶」のキャップが閉まっていて、転がっていたのは何故なのか。たったこれだけの謎で、心理面を主軸に据え、最後まで引っ張っていく内容は素晴らしかったです。自殺者が何を考え、何を伝えたかったのか。また協力者がいたことを暗示しているような状況の意味とは。5人のダイバー仲間がこの謎を解いていく上での心理合戦は本当に見事でした。

 星半個減らしたのは、自分が想像していたものと違って、内容そのままだったからです。初めの提示を信じられなくて、もっと違う展開を予想していたのですが、これはひねくれていた私がいけなかったのですね。

 で、本来なら、「はあ!?」とか「そんなわけないだろ」とか「バカヤロー」とか、ありとあらゆる罵詈雑言がでてくるところですが、はい、私は素直ないい読者なので、このしょうもない設定であろうが、乱暴な動機であろうが、思い込んだら疑うことを知らない人の良さそうな登場人物達ばかりであろうが、鳥肌が立ちそうな人間関係であろうが、すべて受け入れて、ただこの素晴らしい着眼点に酔いしれ、純粋に筋だけを追って楽しみながら読書をしました。

 そういう意味で、ラストもこの物語にぴったりの終わり方でしたね。なんの意味づけもできないのですが、綺麗に終わらせていたので満足です。


 ところで、みっちゃんって、鬱病かなにかだったんですか?
『えんじ色心中』 真梨幸子 講談社 
2005.12.18.Sun / 10:49 
えんじ色心中えんじ色心中
(2005/11)
真梨 幸子

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  ★☆

 『孤虫症』でメフィスト賞を受賞してデビューして、期待大の二作目。

 グロテスクな虫と共に、インパクトのある文章で鮮烈な印象を与えてくれた真梨幸子でしたが、今回の作品では何をやりたかったのかわからなく、消化不良の気持ちを残したまま終わることになる。

 物語の大半を1章で費やしていて、2章が解決編となるのですが、それまで物語の本質が見えてこないため非常にストレスが溜まってしまう。
 核となるのは「西池袋事件」。熾烈な中学受験をかいくぐって名門の中高一貫校に合格したというのに、家庭内暴力の末、父親に殺されてしまうというもの。この事件で父親は無実を訴え、犯人は別にいると主張する。

 1章の構成が、過去と現在を交互に出してきており、且つ、「西池袋事件」を間に挟むことによって、複雑な構造がなおさら混沌してきて読者は翻弄される。しかも文章が凝っていて、会話文のかぎかっこを無くしたり、日記のような独り言のような文章だったり、子供と大人の区別をわざとつけてないのかと思うような文章だったりと、とにかく読みづらい。
 
 しかも、登場人物のどいつもこいつもが心が病んでいて、不満たらたらの生活をしているためか、イライラしてくる。そういう意味では、心の奥底にある感情が伝わってくるということで、巧いということか。ただ、こういう自分のことを一人称でダラダラ話してもらっても、この話がどこに繋がっていくのかまるでわからないので、途中で飽きてしまうのです。

 せっかく中学受験という現代の社会構造が生み出した子供の問題を扱ったのですから、もう少し切り込んだ話に展開させてくれるとか、あるいは、受験生の心の闇を引きずり出してホラー仕立てにするとか、やり方はいくらでもあったと思うのです。

 それでもミステリとしての結末を期待して、読みにくい文章をどうにかして読み終え、もやもやした気持ちを抱いたまま辿りついた解決編。それが待っていたのは、ありきたりの結末です。これでは拍子抜けです。あの複雑な構成には、なんの意味があったのでしょうか。果たして作者は、読者のことを考えて書いているのでしょうか。楽しめる要素を持たない作品は、小説ではないです。

 ミステリにこだわらずに『孤虫症』のときのようなぞくぞくする強烈な文章で、人間の内面をあぶりだしてくれるような小説を期待しています。

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追記

コメント欄に書き込みしてくださったお二人の書評はこちらになります。
お二人の書評を読むとより一層わかるのではないでしょうか。

「棒日記Ⅱ」のarchitectさん
http://d.hatena.ne.jp/architect/20051120/p1


「のぽねこミステリ館」ののぽねこさん
http://plaza.rakuten.co.jp/nopomystery/diary/200512030000/


追追記

感想リンクを貼ってくださったキノさんの書評がこちらです。
いつも鋭い視点なので参考にさせてもらっております。

「kinosy 本の感想」のキノさん
http://clp.rdy.jp/book/log/eid87.html
▽Open more.
『砂漠』 伊坂幸太郎 実業之日本社 
2005.12.13.Tue / 19:49 
砂漠砂漠
(2005/12/10)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る

  ★★★★★

 文句なしに面白かったです。ブラボーです。装丁のことを酷いとかなんとか言いましたが取り消しましょう。この変な顔がいいです。紙質の悪さも砂漠なんですから、これもOKでしょう。というわけで、絶賛です。

 仙台にある国立大学。要するに東北大ですね。そこの法学部の学生達の物語です。東北大といえば、ちょっとムッときたりするのですが。いえ個人的なことで。工学部はすごく難しいんですよね。だから憧れちゃうのですね。あ、これもどうでもいいことでした。だけど、そんな国立大で青春を過ごせるなんてやっぱり羨ましく思ったりして。

 そんな想いで読むものだから、もう全面的に楽しいわけです。ミステリではないですが、ちょっとした仕掛けやリンクした人物がでてきたりして、やはりこういう遊び心は嬉しいですね。
新入生の飲み会から始まって、卒業式まで。

 春の章、夏の章、秋の章、冬の章。そしてまた春の章に戻ります。

 麻雀の四風牌にちなんで、北村、南、東堂、西嶋、そして鳥井の男女5人が繰り広げる青春ものです。北村は、いつもの伊坂氏の主人公と同じタイプのようです。温度の低い、ちっとも面白味のない奴です。南は、大人しい超能力女。東堂は、笑わない冷めた美女。鳥井は、ぎゃははと笑う合コン男。そして西嶋に至っては、すぐ政治の話を出してくる鬱陶しい馬鹿です。でもみんな大好きです。初めは、しょうもない話にどうなることかと思いましたが、章が進むにつれて、キャラが頭に入ってくるとだんだん生き生きと動き出してきましたね。気がついたときは夢中で読んでいました。彼らが成長していったというのも大きく影響しているのでしょう。

 論文の課題がしょっちゅう出るのできつい。なんていう話もありましたが、それほど勉強している感じではなかったですね。代わりに、麻雀をいつでもどこでもやっていました。麻雀は漫画ではよく読んでいたのですが、全くわからなかったので、このシーンはちょっと残念でした。文系の学生はとにかくのんびりしているようです。

 馬鹿なことばかりやって、でもやっぱり後悔することがあっても、二度とない大学生活は本当に楽しいものです。恋愛と政治と超能力と、そして犯罪に関わって成長していきます。胸が締め付けられるシーンもあって、考え込んでしまうこともあったりと、読み応えのある中身のぎっしり詰まった一冊でした。

 お薦めです。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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