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2006年06月の記事一覧
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『さくら草』 永井するみ 東京創元社 
2006.06.26.Mon / 18:25 
さくら草 さくら草
永井 するみ (2006/05/27)
東京創元社
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 少女たちに絶大な人気を誇るジュニアブランドの「プリムローズ」。そのブランドを着た少女たちが殺される。ミステリで二段組とはどれぐらい書き込んでいるのかと、くらくらっとして俯きかけたが、読み始めるとするすると一気に読めてしまった。その筆力はさすがである。ジュニアブランド、専門業界への目の付けどころ、その綿密な取材力には舌を巻いてしまう。高価であるが、欲しくて欲しくてたまらないブランド物は少女たちの憧れの的である。それに入れ込んでいる少女たちの心情や親との係わりはハッとさせられる。親を巻き込んでブランド物に執着する少女たちはどうなっていくのだろうか。
 
 伏線が弱いから犯人まで辿り着けないという不満があるが、本書はミステリに重点を置いているのではないことは明らかなので、それぞれの心理描写を愉しむほうが断然良い。身内の交通事故で娘を亡くした母親。トラウマを持っている女刑事。不倫をしている有能なマネージャーのじくじくとした心の痛み。能天気なカリスマデザイナー。どれ一つとっても一筋縄ではいかないドラマがある。相変わらず容赦のない、胸をえぐるような意地悪な視点がいっそ気持ちが良い。殺人犯を追いかけながら、描いていこうとしているのはそういう人間の心の闇ではないだろうか。
 
 読み応えもあり、一気に読める。だが風呂敷を広げすぎたせいか、事件が終わってしまっても、せっかくの美味しいネタが宙ぶらりんになってしまって、もやもやした気持ちが残ってしまった。その後の彼女達の話を読みたかっただけに残念である。
 とはいえ、非常に読みやすいし勢いがあるので、とくに永井するみファンにはお薦めしておきます。

 (はてなからの再録です。続きにそのときにいただいたコメントを載せておきます。)
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『センチメンタル・サバイバル』 平安寿子 マガジンハウス 
2006.06.24.Sat / 02:02 
センチメンタル・サバイバルセンチメンタル・サバイバル
(2006/01/19)
平 安寿子

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  ★★★★

 うん、巧い。

 初読みでしたが、なかなか楽しんで読むことができました。初めは文体に慣れなくてちょっと戸惑ってしまったのですが、すぐにスラスラと頭の中に入ってきて、逆に、物凄く自然体で読むことができました。これにはちょっと吃驚してしまいました。巧いですね。

 るかは24歳のフリーター。48歳で独身のキャリアウーマンである叔母の龍子と同居することから始まる人生訓話です。と言っても、中心になるのは、二人の軽妙でユーモラスな会話です。叔母の龍子を通して語られる持論が、目から鱗で、なかなか楽しい。48歳というのは結構年齢がいってるせいか、少々愚痴っぽくて、説教臭いところがあるのですが、気づいたときはすっかりこのハイテンションに慣れていて、思わず頷いて膝を叩いていました。ちょっと古臭いなと感じるところもあるのですが、会話の絶妙さがなかなか楽しいです。

 るかちゃん自身がボーっとしている女の子という設定なのか、周りの人物たちが個性揃いで脇を固めてくれていました。高校中退の独立心旺盛な女の子や、あまり友達にはなりたくないと思うような美人の画家。それから現実離れしている画材店の雇われ店長や可愛らしい左官屋さん。

 ヒモと同棲をしているミス・パーフェクトの話や、60歳のダンスのインストラクターをやっているビジネス・ウーマンの話を読むのは、働く女性側からの言い分がビシバシ伝わってきて考えさせられるものがありましたね。対して、専業主婦の立場からの意見は、るかの母親が代弁してくれていて、これまた考えるものがありました。

 無気力なフリーターである「るか」がこれからどんな道を選び進んでいくのかわからないのですが、ひとまず自分の方向性は見つけたようなので一安心というところでしょうか。主人公「るか」の無気力っぷりがあまりにも魅力がなかったのが残念でしたが、歳を重ねてきた人の話を聞くのは、本当に楽しかったです。
『ミーナの行進』 小川洋子 中央公論新社 
2006.06.10.Sat / 21:16 
ミーナの行進ミーナの行進
(2006/04/22)
小川 洋子

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  ★★★

 今から三十年以上前の話です。

 中学一年生になった朋子は、芦屋の豪邸に住んでいる従妹のミーナのところに行くことになりました。ミーナの祖母はドイツ人。車はベンツ。庭にはカバがいて、ときどき家に帰ってくるハンサムな伯父にどきどきしながら、世間から浮いたような家で一年間を過ごします。一つ年下のミーナは、信じられないくらい可愛くて、まるでお姉さんのようにしっかりしています。朋子にいろんなことを教えてくれますが、喘息で入退院を繰り返しているせいか、近くの小学校にやっと通うぐらいで、家に閉じこもっています。本を読んだり、素敵な絵が描いてあるマッチ箱を集めたりして、毎日を送っています。そんな二人のまるで童話のような素敵な日々が綴られていきます。

 温かくて優しい気持ちになれる小説です。

 砂糖菓子のように甘く可愛らしいお話。ときどき胸がズキっと痛くなって寂しく切ない気持ちになります。大阪万博の話がちらりと出てきて、懐かしかったですね。ミュンヘン五輪のバレーボールの話やシャコビニ流星雨の話も良かったです。当時を思い出したりして。とても可愛らしいお話でしたが、わたしにはちょっと物足りなかったです。もう少し書き込んでくれると嬉しかったのですが。ちょっと残念でした。
『押入れのちよ』 荻原浩 新潮社 
2006.06.09.Fri / 00:14 
押入れのちよ押入れのちよ
(2006/05/19)
荻原 浩

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  ★★★★★

 荻原浩は肌に合わないので読むのを止めようかしらと思っていたら、素晴らしい短篇集を出してくれました。なんだ、こんなにいいものが書けるんじゃないの、だったら最初から書いてよね、とぷりぷりしながら同時に、溜息が出るくらいに美しい文章に浸らせてもらいました。

 最初の「お母さまのロシアのスープ」でめろめろです。しっとりした文章から、双子の女の子の可愛らしい姿が目に浮かびます。外国の景色がふわりと目の前に広がり、風の匂いや花の香りがしてきます。のどかな風景だなあと思っていたこれらがすべて伏線となって、あっと驚くオチが待っていました。その寂しさはなんとも言えません。

 次の「コール」と最後の「しんちゃんの自転車」はじんとくる話です。よくあるネタですが、とくに「コール」のミステリ的な味わいは微笑ましくもあり大好きです。何度も読み返してしまいました。

 表題作の「押入れのちよ」は、今までの荻原浩らしい笑えてほろりとする作品。物語としても良く出来ていてこれが一番安心して読める作品でしょうか。押入れに住んでいる、明治三十九年六月九日生まれのちよちゃんが、なんといっても可愛い。シリーズ化希望です。

 「老猫」のぞわぞわとした恐怖に、うひゃあ、となり気になって気になって読んだ先はなんとも気色の悪い話でした。同じように「介護の嫁」もホラー色の強い作品です。こちらも、悪臭が漂ってくるような、とんでもホラーですが、どちらも恐怖とコメディがいっしょになったような作品で面白いです。

 コメディといえば、「予期せぬ訪問者」です。バタバタと動き回っている主人公が追い詰められていくのですが、その様子が滑稽で、なのに主人公の恐怖心が伝わってきて楽しかったです。「殺意のレシピ」も笑えましたね。長年夫婦をやっていると、こんなふうに思うことも案外多いのでしょう。

 かくれんぼして行方不明になった妹を探す「木下闇」。それほどホラー色は強くなくて印象が薄い作品ですが、田舎の風景と相まっていい色合いを出していましたね。

 素晴らしい短篇集でした。

 お薦めです。
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『くじ 異色作家短篇集6』 シャーリイ ジャクスン 早川書房 
2006.06.03.Sat / 18:40 
くじ (異色作家短篇集)くじ (異色作家短篇集)
(2006/01)
シャーリイ ジャクスン

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  ★★★

 善意はあっても普通の人たちが、普通の日常生活のなかで過ごしていて、とりわけて何が起こるわけでもない普通の小説。なのに、どこか妙な魅力がある素晴らしい小説。

 シャーリイ・ジャクスンは初読みなので、たとえばシリーズものを書いているかどうかなんて分からなかったのですが、「ジェームズ・ハリス」という彼女の持ちネタである、亡霊であり悪魔の化身のような男がちらちら出てきます。だからそれを念頭において読むと楽しさが倍増します。ただしこの男を巡る話ではないです。

 最初の「酔い痴れて」で、いきなりクソ面白くもない平凡なパーティ会場の話、かと思えば、もしかしてこれは悪魔の登場なのか!?と期待する。いや、どこにもそんなことは書いてないのだが、いかにも思わせぶりな会話はそうとしか思えない。ここでわたしの腐った脳内妄想はあらぬほうへいってしまう。

 次の「魔性の恋人」は、結婚相手にすっぽかされる女の話である。これを読んで、ほうらやっぱり「ジェームズ・ハリス」という悪魔がやらかした所業だろうと確信した。いやだから、悪魔だなんてそんなことはなんにも書いてないって。
 じわじわ追いつめられる禍々しい雰囲気が良い。

 マザコン気味の、家事の得意な細かい男が登場する「おふくろの味」。女性が書いているせいか、描写がやたらと細かい。いちいち家具の配置やその男の動きを描かないでもいいだろうと思うけど、どうやらこれがこの作家の特徴らしい。でも読んでいるうちに味が出てくるから不思議である。遊びに来た彼の恋人とジェームズ・ハリスに居座られ…。にやにやと意地の悪い目で彼を見る二人。優しそうな態度にぞっとする。ほうら、いわんこっちゃない。
 悪魔はずかずかと遠慮なしに部屋にはいってくるものなのよ。

 「決闘裁判」は知らぬ間に物がなくなる。不思議系かと思えば、そうではなくて意外や意外。意外とほんわりした読後感でよろし。

 だけど、日常の一片を切り取っただけの「対話」なんて何を言いたいのかわからない。という話も結構入っていて、本書ってどうよ?と思ってしまう。

 作品全体としては、人の噂話、それは井戸端会議のような、まるで毒のある会話を楽しむ滑稽さがあり、悪魔が知らぬ間に自分の部屋に入り込んできて、当たり前のように居座ってしまう恐怖を感じる。むむむ。ということは、傑作なのか?なのに星三つはどういうこと?いやだからね、読後感がね。

 好きな作品は、

 「おふくろの味」
 「決闘裁判」
 「どうぞお先に、アルフォンズ殿」
 「チャールズ」
 「曖昧の七つの型」
 「アイルランドにきて踊れ」
 「大きな靴の男たち」
 かな。
 なあんだ、好きな作品って結構いっぱいあるんじゃないの。
 あれ?表題作の「くじ」は?

****************

 「くじ」は、やはり傑作なんですね。
 でも、わたしはこの手の小説が好きではないのです。
 結構どろどろしたものとかグロテスクなものとか鬼畜系なんかは好きなんですが、どうも笑いながら悪意のある態度をとるような自分の身に降りかからなければ何をやってもいいというのは嫌いなんですね。

 あと、やはり女性作家のせいなのか、あるいはこの作家の持ち味なのか、どうでもいい日常生活をぐじぐじ描いているのはあまり好みではなかったです。
『夢はトリノをかけめぐる』 東野圭吾 光文社 
2006.06.03.Sat / 00:38 
夢はトリノをかけめぐる夢はトリノをかけめぐる
(2006/05/20)
東野 圭吾

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  ★★★☆

 2006年2月18日。直木賞受賞パーティで朝まで騒いだ受賞作家は、一睡もできずに車に乗せられ、成田空港へ。横には、なぜか人間に化けた愛猫が。驚きと感動と疲労(?)にみちた、トリノ・オリンピック観戦旅行が始まる!

 直木賞受賞パーティ!う~ん、いい響きだなあ。東野圭吾の嬉しそうな顔が思い浮かびます。できることなら次の日もその次の日も騒ぎたかったであろうに、受賞日の翌日に一睡もしないで飛行機に乗ってトリノへ、だなんて。しかも横には猫人間が。あからさまなフィクションと事実を織り交ぜて、とことん楽しいエッセイ風トリノ・オリンピック観戦記が始まる。

 トリノ・オリンピックの魅力がたっぷりと紹介されていると思ったら、記録の紹介のようなところが多くて、こ、これでオワリなの?というのが正直なところだったのだが、東野ファンとしては、どこを読んでも楽しくて仕方がなかった。

 とくにスキージャンプおたくの著者がジャンプ競技について語るところなんて、熱い想いが伝わっていい。そういえば札幌五輪や長野五輪は良かったなあ。

 トリノのトイレ事情のことだとか、競技の感想だとか、またトイレ事情だとか。とにかくトイレの話は印象に残った。あれ?カーリングの話とか、荒川静香の話はどうなったの?それは読んでからのお楽しみ。

 とにかく飲んで食べて飲んで、東野圭吾の魅力がいっぱいの本書です。東野圭吾のファンで冬季五輪に興味があって、しかもトリノ・オリンピックをたくさん観た方はとても愉しめると思います。終わりにトリノ五輪を振り返っていますが、この真面目な話がとくに良かったです。
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 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

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 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

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 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

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 何かありましたらこちらまで。
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 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
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 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

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