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『コーリング闇からの声』 柳原慧 宝島社 
2007.06.05.Tue / 20:49 
コーリング闇からの声 コーリング闇からの声
柳原 慧 (2007/03)
宝島社
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 二人の特殊清掃員が、浴槽の中で死んだ女性の死を巡って、その真相を探っていくというミステリ。

 「特殊清掃」とは、自殺、殺人、焼死、溺死、飛び込み等の遺体処置から特殊清掃までを行い、遺品を処理し整理をして死体の痕跡をきれいに消し去るのが仕事。零と純也は、日々あらゆる死体の現場に赴いていて、室内の死臭・悪臭にも驚くことも少なくなっていた。だが今回の依頼は、浴槽の中でどろどろに溶けた死体を除去するというかなり難易度の高いもの。浴槽に底には携帯電話が落ちており、死ぬ間際に彼女は誰と話そうとしていたのか。現場で、死者が感じていた孤独と恐怖に囚われた純也は、彼女がどうして死ななくてはいけなかったのか、その闇を解き明かしてゆくことにした。

 特殊清掃員ものとしてグログロの内容なのかと思ったが、意外に爽やかにあっさりと描いてくれていた。一文も短く、今までになく軽やかな文体は若々しくて読みやすくてよかった。やはりサクサク読み進められるというのは、謎を追って先が気になっている読者としてはうれしい。

 柳原慧の三作目である。デビュー作はどこかで読んだことのあるようなダイジェスト版だったし、二作目は登場人物の多さに辟易してしまって、けちょんけちょんに貶した記憶があったが、今回は面白かった。ただ性懲りもなく胎盤エキスの話をもってきていたのには、またかと思った。どうも帚木蓬生の『エンブリオ』がお気に入りのようで胎盤を使ったものに執着しているように思えるのは、わたしの気のせいであろうか。とはいえ、女性作家ならではの、美に対するこだわりの妥協のなさはすごい。いくつになっても綺麗になりたいと思うのは誰しもがそうであるように、このあたりの資料の読み込みには感服してしまう。美容整形はテレビでも盛んにやっているし、綺麗になっていく女性を見るのは楽しい。だが、どんなものであるのか漠然と思っていたものが、じつは全く知らないことばかりだったのには驚いてしまった。

 特殊清掃から始まって、SNS、顔面破壊AVなど、かなり調べて盛り込んでいる。仮想のSNSが出てくるが、これはもうミクシィだとしか思えない。ミクシィをやっている人が読めば、そうだそうだと肯くことばかりだと思う。

 そういうわけでミステリとして読むより、サスペンスものとして興味深い謎を追ってゆくほうが楽しめるようである。主役二人のキャラも好感がもてたし、特殊清掃員ものとしてシリーズ化を望みたい。ただ次回はもっとキャラを立ててくれるとうれしい。
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