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『魂萌え!』 桐野夏生 毎日新聞社 
2005.04.27.Wed / 22:31 
魂萌え !魂萌え !
(2005/04/21)
桐野 夏生

商品詳細を見る

  ★★★★★

 いや、とにもかくにも素晴らしいとしか言いようがありません。ここ最近の桐野作品の中で最高の出来だと思います。これは紛れもなく傑作です。

 もちろん各年代によって感じ方、受け取り方は違うでしょう。ですが、これから先の自分の人生を考えてみるのもいいではありませんか。人は誰でも平等に歳を取り、死んでいくのです。そのとき、残された人間は、たった一人で老いを生きていかなくてはならないときもあるのです。

 夫に急死された敏子さん、五十九歳がそうでした。

 敏子は、五十九歳という、もうじき還暦を迎えようとする年齢。この年齢は、若者からみたら、老人を思ったりするものですが、当人たちは案外気持ちは若いし、体力もあるし、隠居するにはまだ早い、中途半端な年齢なのです。敏子の友達にしてもそうです。美奈子は現役の主婦だし、和世はセレクトショップのオーナー。そして栄子は今が遊び盛りとばかりに出歩いている積極的な女性。この女性達を見ていると五十九歳なんてまだまだ若いなあ、と思うのでした。

 では、敏子はどうでしょうか。今までは、家事育児に専念して、貞淑な妻であり、やりたいことも我慢し、家事労働に勤しむ専業主婦だった敏子です。そんな敏子が、さあこれから夫と共に人生を楽しんでいこうとした矢先に、心の支えであった伴侶を失ってしまうのです。その喪失感たるものやいかばかりでしょうか。
孤独感が敏子を襲います。

 自分が産んで育て、愛おしくて堪らない存在だった子供たち。彼らは敏子を孤独から救ってくれるでしょうか。学生時代から親しくしており、いつもお喋りして旅行したりもする友人たちは、敏子の気持ちを理解してくれるでしょうか。

 世事に疎くて、人と争うことが嫌いで自己主張をしない、どこにでもいるような主婦、敏子。遺産相続で子供たちと溝ができたりして、またそんな中で夫の秘密を知り、だんだんと悲しみや憎しみなど、強い負の感情が胸の裡に湧き上がってくるのでした。やがて敏子の言動に変化が表れてきますが、そうした様子が行間から滲み出ています。さすが桐野夏生です。このへんのリアリティはもの凄いものがあります。

 まさに、敏子と一緒になって悩んだり、傷ついたり、嫌悪感を募らせたりと、まるで自分の将来を見ている気分になるのでした。

 ラストでは、今まで隠していた心情を語ります。そのシーンが圧巻です。仲間の前で、自分の胸の裡をすべて吐露する敏子ですが、よくぞここまで成長したな、という思いでいっぱいになりました。何はともあれ、これからの人生を上手く生きてゆくのではないでしょうか。 

 敏子さんにエールを送りたいと思います。
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