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『追伸』 真保裕一 文藝春秋 
2007.10.14.Sun / 22:01 
追伸追伸
(2007/09)
真保 裕一

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  ★★★★☆
 
 離婚してほしいと、ギリシャに赴任した夫に離婚届を送りつけた妻。一方、夫は、いきなり妻に手紙でそんなことを言われて戸惑うだけ。一度は仕事を辞めてギリシャに一緒について行くと言ってくれた妻なのだ。出発直前になって交通事故に遭い入院したとはいえ、治療後はギリシャに発つ手筈になっていた。それがどうして突然約束を破り、事もあろうにいきなり離婚などと言い出したのか。物語は夫婦の往復書簡から始まって、妻の祖父母の往復書簡に発展してゆく。
 
 どちらの手紙にも、妻のほうから離婚してほしいという願いが切々と綴られている。それに対して、夫どもはただひたすら妻の気持ちを伺い、引き留めるしかない。
 
 自分は罪を犯した、だからあなたとは暮らせない、別れてください、何度も何度も繰り返して言う。どんなに説得しようとも頑として応じないし、またその理由も言わない。
 
 読み進めるうち、何故こうまでして拒絶するのか、何が妻をここまでさせるのか。疑問と疑惑が沸いてくる。だが、恐ろしいまでの意思と熱情が伝わってきて、そんなことはどうでもいいことのように思えてくる。ただ、だからといって、全面的にこの物語を指示できるかと言えば、残念だが、否と言うしかない。どちらの妻とはいえないが、あまりにも身勝手すぎて共感できなかった。最近、真保のキャラクター作りには首を傾げてしまうことが多いように思う。
 
 と、色々と愚痴を言ってしまったが、これは凄かった。一気読みである。

 手紙の形をとったミステリーだった。だが、これは紛れもないラブレターであり、恋愛小説である。相手を気遣い、自分の気持ちを切々と綴っていく手紙は、どこを切り取っても胸が詰まってくるし、熱いものが込みあげてくる。そして、ここまで妻と夫の気持ちを書き上げた真保の筆力に驚嘆するとともに感服してしまう。
 
 お薦め。


追記
 真保さんはこれで直木賞が獲れるんじゃないでしょうか。
 というか、直木賞向けの作品ですね、これは。
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