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『私という運命について』 白石一文 角川書店 
2006.12.29.Fri / 21:07 
私という運命について 私という運命について
白石 一文 (2005/04/26)
角川書店
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 相変わらず素晴らしい文章に酔ってしまった。勿体ないので少しずつ読むつもりだったが、やはり結末が気になってしまって後半は一気に読んでしまった。
 やはり白石一文は肌に合う。たとえそれが説教臭かったり、理屈っぽくって先の展開を見えてしまったりしても、そんなことは関係ないくらい好きだ。肌に合うというのは、得てして、こういうことかもしれない。

 いつの時代でも、人は人生の節々で選択を迫られる。進学、就職、結婚、出産。主人公の冬木亜紀は大手企業に勤めるキャリア職。時は1994年。女性の視点に立ち、亜紀の29歳から40歳までの約10年間が綴られてゆく。彼女が人生について考え、運命に戸惑い、それでも勇気を出して選択していく姿が描かれている。
 彼女の人生のターニングポイントで「手紙」が効果的に使われており、その一節一節に胸が熱くなり、読者は主人公と一緒になって己の人生を振り返ってみるのである。
 三篇の「雪の手紙」「黄葉の手紙」「雷鳴の手紙」と最終章の「愛する人の声」からなる。

 「雪の手紙」では、かつての恋人であった佐藤康の結婚式場の場面から始まる。式が始まる前に、亜紀はふと思いついて、式場の最上階のレストランで彼の母親からの手紙を読み出す。その長い手紙には「選べなかった未来、選ばなかった未来はどこにもないのです。」と綴られてあった。この主題が、終盤、実に感慨深く胸に迫ってくる。これから一体、亜紀はどんな人生を歩んでいくのかと思うと、切なくて他人事ではなかった。

 さて、場面は一転して「黄葉の手紙」では、亜紀は福岡に転勤になっていた。ここで運命の相手を見つけたかにみえた亜紀だったが、彼女はやはりここでも前に踏み出せないでいた。後に残ったのは、大きな疲労感と脱力感だけ。しかしこのとき、亜紀は運命とはどういうものか考える。いままで結婚に対して漠然と思っていたこととは違う想い。それは静かでさりげなくやってくるのだ、という想い。なにも、結婚が人生のすべてであるはずはないのだ。子どもを産むことだけが女性の存在価値ではないはずだ。こういう想いが、次の章に引き継がれてゆく。

 出会いと別れを繰り返しながら、人はなんと多くのことを胸に留めていくのだろうか。亜紀もそんな大事な場面で、自分のことが分からなくなり、選択に迷いが出たり、踏み出す勇気がなかったりして「運命」に翻弄されるのである。だが、いつだって選び取るのは自分だということに、亜紀はちゃんと気づくのだった。そんな亜紀なので、最後はしっかり前を向いて歩んでいくような気がするのである。

 とにかく衝撃的な作品だった。だが、読めて本当に良かった。好きな作品の一つになりました。(2005年6月18日)


注:「でこぽんの読書日記」にエントリーしたものを少し推敲して載せました。
そのときにコメントとTBをいただいていますので併せて載せておきます。
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[コメントを書く]
# ヾ(=ΘΘ=)ノ 『やっと読み終わりです。細かく書くのが面倒になっちゃって、日記の脚注にでこぽんさんとこを紹介しちゃいました。ご迷惑でしたら、あとで消しますので仰って下さいね。』
# でこぽん 『ははは。脚注みました。ついでにコメントもしましたのでヨロシクです。
あらすじって面倒ですよね。いつもはほとんど書かないのですが、今回は少し書いてみました。
この作品、私的には結構ツボに嵌って面白かったのですが、どうも女性にはイマイチのようですね。結婚、出産、家事、介護なんていうのが絡んでくると、女性はどうしても感情的になるようなならないような……(^^;;;』
# snowkids99 『丁度一年前にでこぽんさんは読まれていたのですね。気にはなっていたものの、なぜかなかなか手が出せない作家の一人です、白石一文。正直、評価に困る作家です。』
# でこぽん 『白石一文は大好きな作家さんですが、誰にでもお薦めできないというのが辛いところです。でもすのさんが読んでくださって良かったです。』

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/yookoo/20050618
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[白石一文]私という運命について

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