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『ゆりかごで眠れ』 垣根涼介 中央公論新社 
2006.05.03.Wed / 13:24 
ゆりかごで眠れゆりかごで眠れ
(2006/04)
垣根 涼介

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  ★★★★

 相変わらず抜群のリーダビリティで最後まで一気読みです。さすが垣根涼介です。

 コロンビアの日系人であるリキ。子どもの頃、両親を惨殺されたリキは麻薬マフィアのボスとしてのしあがってゆく。

 序盤、コロンビアの悲しい歴史は『ワイルド・ソウル』を彷彿とさせ、一時も目が離せなかった。南米モノを描かせたら垣根氏は本当に巧い。

 捲る手が止まらないほど面白い。面白いのだけど、それはコロンビア・マフィアとして重厚な面白さではなくて、父親としてのリキの振る舞いや浮浪児だったカーサとの心和む関係であったりする。小さいカーサが、リキパパを心配して慕う姿には胸が痛くなってきたり。中盤から後半にかけては、この部分が大半を占めているので読み応えがあってうれしい。子どもの心理状態というものを勉強させてもらって、それはもう目から鱗でした。子どもの描き方も非常に巧いです。

 これはこれで大変楽しませてもらったのだが、やはり読みたいのは南米と日本の関係でした。コロンビアの歴史を読んだときから、それが日本とどう関わってゆくのか。日系人であるリキが日本にやってきた理由がなんなのか。「信頼」という名においての暴力沙汰だけでは、ちょっと肩透かしに合った気分でした。マフィア同士の信頼は良かったが、日本の刑事の中途半端な描写にはガッカリ。とくに元女刑事の魅力のなさにはどうしようもないものを感じた。

 終始楽しませてくれ、また血と抗争でバイオレンスも多少あり、人間関係の横軸もきっちりと描いている。それなのに爽快感とか達成感がそれほど感じられなかった。とくに終盤失速してしまったのがとても残念でした。

 ということで、オチを読んで星1個減らしました。
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