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荻原浩『明日の記憶』について  
2005.04.07.Thu / 00:00 
明日の記憶明日の記憶
(2004/10/20)
荻原 浩

商品詳細を見る

  「本屋大賞メッタ斬り!」には、もうほんと面白くて笑っちゃいましたね。毎回鋭い切り口で楽しませてもらっています。お二人の漫才のような語り口には感心するばかりですし、今回は『明日の記憶』についてマジに解説されていましたので思わず心のなかで拍手をしてしまいました。

 大森氏が「この小説は、その症状の一部、「忘れる」って恐怖だけをとりだして、ほんとに物忘れ小説にしちゃってる。病気を都合良く道具に使ってる気がするんですよ。他のイヤな面はあんまり書いてなくて。」とおっしゃっています。

 まったくもって、同感です。

 ある作家とのメールの遣り取りで、その方は「物語のスタイルとして、アルツハイマーになった本人の一人称であるならば、あの終わり方がベストだろうと感じ、エンターテインメント小説としてよくまとまった小説」だから「いい小説」とおっしゃっていました。

 この「エンターテインメント小説」という部分がどうにも引っ掛かるのです。

 私は、この小説はある意味ホラー小説か、あるいはファンタジー小説ではないかと思っています。決して素直に笑ったり、泣いたり、喜んだりできる小説ではないと思います。

 アルツハイマーという病気は、ただ単に「物忘れ」がひどくなる病気ではないのです。それはまず考えられる一つの症状であって、そのうち徘徊、錯乱して暴力を振るなどの人格破壊が起こり、介護者はいつも危険をともなってくるので在宅でのケアは難しいとされている大変な病気なのです。

 読んでいて、主人公がどんどん「物忘れ」をしていく姿をみていると、本当に身につまされると思ってしまうのでした。ところが、この話を本当にアルツハイマーの家族を持っている人にしたら、そんな「身につまされる」なんて生易しいものではないのよ、と言われてしまいました。
物語の前半で、主人公の「物忘れ」が始まって仕事にも支障をきたし、だんだんと辛い立場に追い込まれてゆくのですが、それでも仕事を辞めない場面。この場面をもの凄くリアルに描写していました。仕事に失敗しても失敗しても、仕事を続けていく主人公です。読んでいて苦しくなるばかりで、ちっとも楽しくありませんでした。なんで早く辞めないのだろう、と思うばかりでした。

 一人称小説とはいえ、この場面をこれだけリアルに描くならば、「日記」の部分でお涙頂戴などで誤魔化すのではなく、徘徊し、涎をたれ、糞尿に塗れた部分も書いてほしかったと思ったわけです。小説として、これでは体裁がつかないというのであるならば、初めからもっと心温まるような綺麗な小説として扱ってほしかった、と思うのでした。

 ラストも感動的シーンで終わっていましたので特にそう思ったのかもしれません。

 というわけでこの小説は、私のなかでは非常にバランスの悪い小説となってしまったのです。ただ、そういうことをあれこれ考えさせられた小説でもありますので、いつまでも心の中に残っており、印象的な小説となったことも確かでした。

 でも、だからといって誰にでも薦められるかと訊かれても、躊躇してしまうのも確かです。まあ、この小説でアルツハイマーという病気がどんなものかわかると紹介はできますが。

 「いい小説」かもしれませんが、「好きな小説」ではありませんね。

 ただ何度も言いますが、『夜のピクニック』よりはずっといい小説だと思っています。
 かなり好き勝手に書き散らしていますので、不愉快に思われる方がいらっしゃったら申し訳ありません。
 では~。
[コメントを書く]

# ヾ(=ΘΘ=)ノ 『メッタ斬りを読んできました。『明日の記憶』今、中盤くらいなものですから。そうでしたか。。。もっと進行して家族が巻き込まれて凄い状況になっていくサマがリアルに描かれていくのかしらん、と思っていたのですが。お話っぽく終わっちゃうのですね。心積もりしてラストへ向かいたいと思います。』

# でこぽん 『そうそう。家族が巻き込まれて、もの凄い状況をリアルに描いてほしかったです。
最後は、もう思いっきりファンタジーです。
泣いても騙されちゃ駄目よ~。』

# ヾ(=ΘΘ=)ノ 『泣かずに終わりました。ご報告まで~。』

# yookoo 『ヾ(=ΘΘ=)ノさん、ご報告ありがとう~。。。
泣かずに終わったのは正しい読み方をされたのですね。おめでとうございます。
ところでやっぱりトラバできないんだけど…。
ここにたまさんのURLを入れても駄目なんでしょうかね。
http://d.hatena.ne.jp/tama623/20050407#p2』

# ヾ(=ΘΘ=)ノ 『こんにちは~。えっと、私の拙い感想なんかを送りつけてごめんなさい、ですが、一応実験ってことでご勘弁を。やりかたですが、このでこぽんさんの本日の日記の編集画面から入ります。下の方にトラックバックURLというのがありますが、ここへ私のとこのURLをコピペして画面を登録するといけるんじゃないかと思います。』

# でこぽん 『 ヾ(=ΘΘ=)ノさんお手数をお掛けしました。これだけ行き来しているのに、まったく~どうしてトラバできなかったんでしょうね?
一応「トラックバックしました」と表示はでるのですが、画面には反映しなかったのですよね。もう本当に謎です。
とにかく、的確な感想をありがとうございました。』

# 早乙女 『はじめまして、移動図書館で何となく手に取った本で、こんなにテーマが重いとは思わなかったです。
アルツハイマーって恐いですね。本当に考えさせられてしまいました。』

# でこぽん 『早乙女さま、いらっしゃいませ。ここはほとんど新しい方がいらっしゃらないのでかなり嬉しいです。また遊びにきてくださいね。
ええと。アルツハイマーでしたね。テーマはたしかに重いのですが、内容はそれほど重くはないと思います。物忘れ小説ですから。ですが、この小説を読んだ人がアルツハイマーについて考えることを思えば、やっぱりいい小説だと思うのです。本当にいろいろと考えさせられましたね。』


トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/yookoo/20050407/1112882827
 ○「明日の記憶」 荻原浩 光文社 1575円 2004/10
 [本]荻原浩『明日の記憶』
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