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![]() | 押入れのちよ (2006/05/19) 荻原 浩 商品詳細を見る |
★★★★★
荻原浩は肌に合わないので読むのを止めようかしらと思っていたら、素晴らしい短篇集を出してくれました。なんだ、こんなにいいものが書けるんじゃないの、だったら最初から書いてよね、とぷりぷりしながら同時に、溜息が出るくらいに美しい文章に浸らせてもらいました。
最初の「お母さまのロシアのスープ」でめろめろです。しっとりした文章から、双子の女の子の可愛らしい姿が目に浮かびます。外国の景色がふわりと目の前に広がり、風の匂いや花の香りがしてきます。のどかな風景だなあと思っていたこれらがすべて伏線となって、あっと驚くオチが待っていました。その寂しさはなんとも言えません。
次の「コール」と最後の「しんちゃんの自転車」はじんとくる話です。よくあるネタですが、とくに「コール」のミステリ的な味わいは微笑ましくもあり大好きです。何度も読み返してしまいました。
表題作の「押入れのちよ」は、今までの荻原浩らしい笑えてほろりとする作品。物語としても良く出来ていてこれが一番安心して読める作品でしょうか。押入れに住んでいる、明治三十九年六月九日生まれのちよちゃんが、なんといっても可愛い。シリーズ化希望です。
「老猫」のぞわぞわとした恐怖に、うひゃあ、となり気になって気になって読んだ先はなんとも気色の悪い話でした。同じように「介護の嫁」もホラー色の強い作品です。こちらも、悪臭が漂ってくるような、とんでもホラーですが、どちらも恐怖とコメディがいっしょになったような作品で面白いです。
コメディといえば、「予期せぬ訪問者」です。バタバタと動き回っている主人公が追い詰められていくのですが、その様子が滑稽で、なのに主人公の恐怖心が伝わってきて楽しかったです。「殺意のレシピ」も笑えましたね。長年夫婦をやっていると、こんなふうに思うことも案外多いのでしょう。
かくれんぼして行方不明になった妹を探す「木下闇」。それほどホラー色は強くなくて印象が薄い作品ですが、田舎の風景と相まっていい色合いを出していましたね。
素晴らしい短篇集でした。
お薦めです。
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