ADMIN MENU ≫ | IMAGE | WRITES | ADMIN
スポンサーサイト 
--.--.--.-- / --:-- 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
『モーニング Mourning』 小路幸也 実業之日本社 
2008.03.28.Fri / 00:10 
モーニング Mourningモーニング Mourning
(2008/03/19)
小路 幸也

商品詳細を見る

  ★★★★★

 友人の葬儀に出席した45歳の中年男たち。大学時代にバンドを組み、4年間一つ屋根の下で生活した5人だった。卒業後、20年ぶりに揃ったというのに、そのうちの一人は事故死していた。葬儀が終わり、福岡からそれぞれの家へ帰ろうとしたとき、俳優になった淳平が突然言い出す。「自殺するんだ。俺は」何故だ。理由を言ってみろ。言えない。押し問答が続いたあと、「俺が死ぬ理由。思い出してくれたら、死ぬのをやめる」と。そういうわけで、4人は喪服を着たまま、東京へ向かってロングドライブをすることになった。

 もう掛け値なしに良かった。

 文章のリズムとか、スッと入ってくる文体とか、過去と現在のメリハリのある話とか、あるいは軽やかな会話とちょっとしんみりした自分語りとか、なんというのか、とにかく肌に合う作家である。読んでいて実に気持ちがいいのである。とくにこういう45歳の中年男たちの大学時代の話というのは、年代が近いというのもあるかもしれないが、当時流行った歌だとか、ファッションとか、食べ物とか、そういった付属のものですでにノックアウトされてしまうのである。

 「俺が死ぬ理由」とは何か。つねに心の中では、その疑問が渦巻いているのだが、一つのエピソードが、次のエピソードを生み、次から次に出てくる「何故」が気になってしょうがない。気がせきながら、それでも立ち止まって読み耽る楽しさ。それは、きっと、過ぎ去った若き日のことを同じように懐かしみ、愛し、悔しい気持ちでどうしようもないからだろう。

 こういう一文がある。

 「何も持たないということが、学生であるというだけでその他に何も背負っていなかった、あの時代の自分の精神と身体がどんなに軽やかだったのかということを思い知る。」

 この後に続く非常に素晴らしい文章は本文で楽しんでいただくとして、この一文には心底じんとした。まったく共感を持つとともに、かつての楽しくて奔放な生活が思い出されて、何度も繰り返して読んだ。

 わたしは東京―福岡間は何度も運転しているので、ロングドライブでの車中の雰囲気がどんなものだとか、2、3時間運転したらどこのサービスエリアで休憩をとるのかとか、そういったことを知っていたので、まるで同じ空間にいるように感じられ、あとどれくらいで着いてしまうといった心配までして、女性に聞かせられない話も含め、彼らの大学時代の友情には胸が熱くなった。こんな場合、女性が混ざるとたいてい陳腐な展開になってしまってガッカリすることが多いのだが、とても印象的な女性が彼らと一緒になって遊んでくれたお蔭で、ときにはほろりと、最後まではらはらどきどきさせてもらった。

 ロングドライブの終点は、やはり感動だった。エピローグも爽やかに、大好きな一冊となった。

 お薦め。

*************:

 書くのを忘れていましたが、表紙カバーが素晴らしいです。アマゾンから届いて現れた表紙に驚きました。あまりにも素敵だったのです。迂闊にも小路さんの日記を拝見していなかったためどんなものか全く知りませんでした。男性4人がそれぞれ違う方向を向いているイラスト。どんな思いで佇んでいるのか知る由もないのですが、いろんなことが想像できるとてもいいイラストです。小路さんが指定したイラストレーターさんのようです。雰囲気があっていいですね。帯のコピーも小路さんが書かれたようです。「喪服のロングドライブ」「将来なんか何も考えていなかった。ただ、仲間のことだけは思っていた。 一九八〇年、十九歳だった私たちは今、四十五歳の中年だ。」このキャッチコピーにぐっときました。さすがです。

 小路さんへ
 とてもとても面白かったです。
 淳平と父親が会ったシーンは、泣いてしまいました。なんででしょうね。多くを語ってないシーンなのに、ほんとに不思議です。今回は泣かないと決めていたのに……ダメでした。
 
 お仕事大変そうですが頑張ってください。いつも応援しています。
 でこぽん
トラックバック
「粋な提案」藍色さんより。
http://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-454.html
スポンサーサイト
COMMENT TO THIS ENTRY
--NoTitle--

こんにちは。
大学生活は本当に楽しそうでしたね。
何も背負っていなかったゆえの軽やかさ、実感させられました。
「仲間の中に、愛する女性が二人いるという組み合わせが、そのままあの頃をまた思い出させた」っていうフレーズが素敵でした。

今回もTB反映されないと思いますので、お手間を減らすためにサイトURLとTBのURLを、h抜きで記しておきますね。
サイトURL
ttp://1iki.blog19.fc2.com/blog-entry-454.html

TBのURL
ttp://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/454-84c03b1c

- from 藍色 -

--NoTitle--

藍色さん

こんにちは。
いつもありがとうございます。
TBが反映されないのでお手数をおかけしています。
続きのところにURLを入れておきました。

はい、大学生活はほんとうに楽しそうでした。
読んでいると、自分の学生時代を思い出すので尚更だったのでしょう。やはりいつのときも仲間というのはいいものです。

- from でこぽん -

   非公開コメント  
スポンサーサイト『モーニング Mourning』 小路幸也 実業之日本社のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

でこぽん

Author:でこぽん
 ようこそいらっしゃいました。
でこぽんです。

 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

---------
 感想でいらした方は、カテゴリの[国内海外]の感想をクリックしていただくと日付順に表示されますので見やすいかと思います。
 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

---------
 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

----------------
 何かありましたらこちらまで。
 メールアドレス
yokonetjp*yahoo.co.jp(*を@に変えてください。)

------------
 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
------------
 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

最近のコメント
最近のトラックバック
カウンター
でこぽんの読書メーター
でこぽんさんの読書メーター
QRコード
QR
CopyRight 2006 でこぽんの読書通信 All rights reserved.
Photo material by <ivory> / Designed by Il mio diario
Powered by FC2BLOG / 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。