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『おやすみ、こわい夢を見ないように』 角田光代 新潮社 
2007.01.20.Sat / 22:00 
おやすみ、こわい夢を見ないように おやすみ、こわい夢を見ないように
角田 光代 (2006/01/20)
新潮社
この商品の詳細を見る

  ★★★★★

 ぞっとするくらい巧い短篇集だった。

 「あたしですか、あたしはこれから人を殺しにいくんです。」の出だしから始まる、なんとも不穏な空気が漂う7つの物語。

 どの話も、心の奥底に潜んでいる他人への憎悪が根底にあるせいか、先が気になってしようがない。例えば、本気で殺したいと思う気持ちというのは、いったいいつ芽生えるものだろうか、と。

 小学生のとき、担任からの理不尽な苛めをされる。無視され差別され些細なことで激しくしかられるたびに、なぜ自分がこんな目に合うのかわからないと思う主人公がいる。そんな彼女の気持ちと同調するように、しだいに負の感情が紙面を覆っていき、ぞわぞわした気持ちに泡立ってくるのだった。

 全編のテーマは悪意である。だからどの作品も、徹底して容赦がなく、辛口な物語ばかりだ。だが、その悪意に身悶えながら、では自分はいったいどうしたいのかと自問自答したとき、袋小路に迷い込んだみたいに心もとない気持ちになってしまうのはなぜだろうか。それは正しいとか正しくないとか割り切れるものではなく、いつまでも燻っているものだからだろう。

 だから、冒頭に出てきた殺しに行くと言った「彼女」や、図書館でいつも同じ場所に居座っている浮浪者らしき「女性」や、それから自宅の目の前にある公園に住んでいるホームレスの「女性」、あるいは寿司工場のパートの「女の子」など、本書の主要人物より彼らのほうが大変な人生を抱えていると思われるのに、まったく話に関わってきていないのは、意外と自分で答を出していて、すでに納得済みだからではないかと思うのである。

 ラストでは、主人公たちの行く末がはっきりとは示されてはいない。でもそれでいいのだと。もしかしたら彼ら自身、それぞれが抱いていた憎しみの正体を知りたかったのかもしれないし、ひょっとしたら彼らは、すでに気づいていて、承知していたものかもしれない。そしてこれは、誰もが陥る日常のことかもしれないのだ。だけど、こわい夢を見ないですむのなら、それに越したことはない。そんな日々を送りたいと切に願った今日一日だった。(2006-02-02)

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読書日記に一度アップしたものを少し推敲して載せました。
やはり角田さんは巧いですね。
読後感は決して良いものではないかもしれません。
ですが、私はこういうちょっと不気味で悪夢のような話が大好きです。
とても面白かったです。
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