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『銀の砂』 柴田よしき 光文社 
2006.09.14.Thu / 21:58 
銀の砂銀の砂
(2006/08/22)
柴田 よしき

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 柴田よしきのミステリはいまいち好きじゃないのだが、女同士のドロドロした愛憎劇は抜群に上手いのできっと楽しませてくれるんじゃないかと思い、装幀も素晴らしい本書を読んでみた。
 
 場面は、ベストセラー作家・豪徳寺ふじ子が白い花の中に埋もれるようにして眠っているところから始まる。


 「自分でも驚いたけど、医者も驚いたでしょうね。流産なんて……わたし、五十一になったのに」「生理はまだ来てたけど、まさかね、もういくらなんでも妊娠はしないと思ってたから、油断しちゃった。」


 
 これはいいね。この生々しいセリフにすっかり打ちのめされてしまった。こんな会話は、おばさん同士なら誰でも平然とするのだが、活字でこれをやられるとは思わなかった。これは信じられると、途端に、この女流作家に興味がでてきたのである。
 
 病室を訪れているのは、かつてふじ子の秘書をしていた売れない作家の佐古珠美である。過去にどんな諍いがあったのか知る由もないが、冷めた目で落ち目の作家を見る姿には寒々しさを感じてしまう。だが「もう、できない」と言いながら、甲斐甲斐しく世話を焼く珠美。興味は、いい歳をした二人の関係と、彼らの過去に向かうのだった。いったい二人に何があったのか。生々しい心理描写に捲る手が止まらない。一気に物語にのめりこんでいく。それこそ時間を忘れて読みふけったのである。
 
 なぜ、ふじ子は誰とでも寝るのか。作家になる前の地方都市での結婚生活に、何かあったのであろうか。昔からある嫁姑の確執。私は幸せにもそんなことは全くなかったのだが、この鬼のような姑の、ふじ子に対する仕打ちにはむかっ腹が立ってしようがなかった。自分の味方になってくれない夫とは別れたほうがいいんじゃないか、と。だけどふじ子は、そんな不甲斐ない夫といえどもなんとしてでも親子三人、必死で幸せを見つけていこうとするのである。健気だ。裏切られ絶望の果てにあっても信じ耐えていけるものはあったのだろうか。
 
 さてそんなふじ子であるが、なぜ珠美に執着するのであろうか。珠美にしても、かつて散々痛めつけられ、殺意まで抱いた相手である。ふじ子のそばに居続けることはできないと去っていっても、命令されて喜んでいた自分がいたのも事実だった。お互い、癖のある奔放な性格はさすが作家である、といえばいいのか。編集者、ルポライター、俳優と係わり合い、自分たちの感情の渦に彼らを巻き込んでいくのである。いったいどんなふうに決着をつけるのか、楽しみでしょうがなかった。
 
 ところが途中から、これはミステリだったということがわかって、ずっこけてしまったのである。ちっ、つまんない。それまでは二人のいびつな愛情が無茶苦茶面白かったのに。なんでミステリなんかにしちゃったんだろう。途端にテンションが下がってしまって、だらだらとしょうもない話が続いていった。というわけで、残念だが駄作になってしまった。あーあ。傑作だったのになあ。
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