ADMIN MENU ≫ | IMAGE | WRITES | ADMIN
スポンサーサイト 
--.--.--.-- / --:-- 
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
『凍りのくじら』 辻村深月 講談社 
2005.11.15.Tue / 01:23 
凍りのくじら (講談社ノベルス)凍りのくじら (講談社ノベルス)
(2005/11)
辻村 深月

商品詳細を見る

  ★★★★★

 本を閉じてこれほど余韻のある感動で胸いっぱいにしてくれた本は久しぶりです。幾度となくうるうるしていた涙が、クライマックスでは我慢できなかった。そんな素敵な、『ドラえもん』を愛する、高校二年生の理帆子の、“少し不思議”な物語です。

 青春小説、とりわけ十代の感情表現が抜群に巧い作者が、今回は女の子の視点で書いてくれました。高校生という年代はとても不安定な要素がたくさんあって、とても自分一人では背負いきれないところがあるでように思います。理帆子も同じでした。カメラマンの父は失踪して5年が経ち、母は余命2年と宣告されてその時期が迫っている。入院中の母を見舞っても心はだんだんと沈んでいくし、だから友だちと遊んでいてもどこか覚めていて、何事にも夢中になれない。しかもそんな自分を自覚している。遊びといえば、藤子・F・不二雄先生が遺した言葉である「SF(すこし・ふしぎ)」をもじってスコシ・ナントカをいつも頭の中に置いて楽しんでいるような、ちょっと変わった読書好きの女の子。そういう理帆子の平凡な日常がずっと続いていきます。

 傍から見ると、どうしてそんな簡単なこともわからないんだろうとイライラすることがたくさんあります。私にとって、理帆子は決して頭の良い子ではなかった。それは勉強ができるとか勉強ができないとか、そういうものとはもちろん違います。だけど、不安定な環境だからこそ、物事をきちんと見極めてほしいと思うのです。なかなか難しいのだけど。そんな、自分では上手く生きていると思っていた理帆子の周りで、事態は少しずつ変化していきます。

 こういう何気ない日常生活に伏線を置いて、徐々にクライマックスにもっていく構成は相変わらず巧い。ミステリとしては、それほど期待できるものではないですが、物語全体を通して、不安感いっぱいに漂う不安定さは、十代の心理描写を読んでいくうえで非常に効果的でした。そしてこの作品をミステリアスでファンタジックなものにしてくれていました。

 終盤は完全に物語に没頭してしまって、クライマックスである母から娘へのラブレターには号泣でした。父と母と、そして娘の、少し不思議な家族の物語。読み終わったあとは、やっぱり『ドラえもん』を読みたくなったし、本当に大好きな小説になりました。

 お薦めです。

----------
はてなに一度アップしたものです。
そのときにコメントとトラックバックをいただきましたので、続きに載せておきます。
[コメントを書く]

# architect 『母親から理帆子への手紙は破壊力高いですよね。』

# でこぽん 『これは完全にやられましたね。
ちっともそんな素振りがなかったものですから、いやあ、参りました。巧いですね。
これを読んだ理帆子の心情を思うと、もうね。』

# chiekoa 『うわ、読みたいです…。でもまだ図書館に入ってなーい!むぅ…来たら一番に借りようともくろみ中です…。』

# でこぽん 『そうですか…まだ図書館に入ってきてないのですか。
では買いましょう!
そして何度も手紙のところを読み返しましょう。
あ、駄目。見たら泣いちゃう。』

# chiekoa 『買ってしまいそう…(笑)。お給料日もうすぐですし!最近読みたいなぁと思っている本の中に「ドラえもん短歌」って本があったりして、なんだかドラえもんづいてます…。』

# でこぽん 『あ、いいですね。それは是非買ってください。
そして、泣きましょう。
そのあとドラえもんを読んで楽しみましょう。』

# のぽねこ 『読了しました。
いやはや、泣きました。手紙はもちろんですが、私は諸所で(いまさらいうまでもないかもしれないですが…)。
記事にも書いたのですが、そうとう揺さぶられました。感情移入したというよりは、自分のありかたを考えすぎて…。今日は読書だ、と帰宅するときは相当テンション高かったのですが、しんみりとした読後感です。
乾さんの本はまた今度読みますね。』

# でこぽん 『のぽねこさん、こんばんは。
トラックバックとコメントありがとうございました。
やはり泣きましたか。これはかなりきますよね。
何度も読むのを止めようと思ったと書かれてあったのでちょっと心配でしたが、貴重な読書体験だったようですし、ともかく読了できてなによりでした。
乾さんの『匣の中』はそのうちネタバレ全開で話せればいいですね。その日を楽しみにしておきます。それではまた。』

# chiekoa 『読みました。泣きました。びっくりしました。読んでよかったです!でこぽんさんのオススメがなかったら手に取らなかった本なので、感謝感謝です!』

# でこぽん 『ちえこあさん、読んでくれてありがとうです。
理帆子は人気ないですが、この子の性格があって母親の手紙がいきてくると思います。
やっぱり泣きましたか。
良かったですよね。
トラバありがとうございました。』

トラックバック
辻村深月『凍りのくじら』
凍りのくじら [辻村 深月]
スポンサーサイト
COMMENT TO THIS ENTRY
   非公開コメント  
スポンサーサイト『凍りのくじら』 辻村深月 講談社のトラックバックURL

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
プロフィール

でこぽん

Author:でこぽん
 ようこそいらっしゃいました。
でこぽんです。

 このブログは「でこぽんの読書日記」のミラーサイトになります。感想文の保管庫ですね。読書通信となっていますがdollのほうがメインになるかと。なるべく多くの写真を載せていきたいと思います。画像をクリックしていただくと元の大きなサイズになります。
 それではどうぞよろしくお願いします。

 高速画像表示にするため、「広告あり」に設定しました。ちょっと邪魔ですがよろしくお願いします。2011/12/21

---------
 感想でいらした方は、カテゴリの[国内海外]の感想をクリックしていただくと日付順に表示されますので見やすいかと思います。
 でも最近は感想文は書いてないです。すみません。

---------
 カテゴリのところをちょっといじりました。
 ドールはmomoko、Misaki、Barbie、FRと分けて、それぞれの全記事が表示できるようにしました。少しは使い勝手がよくなったと思うのですが、どうでしょうか。2008/7/23

----------------
 何かありましたらこちらまで。
 メールアドレス
yokonetjp*yahoo.co.jp(*を@に変えてください。)

------------
 薔薇の黒背景は画像が綺麗に見えるので私も好きでしたが、やはりエントリ別に見るときは使い勝手が良くないようです。CSSを弄れるといいのですが、このレベルになるとさすがに勉強しないと無理なのでやめました。ずいぶん粘ってみたんですけどね。なので元に戻しました。またそのうち黒背景にすると思います。2008/09/24
------------
 そうそう。コメントは「OPEN▼」でも読めます。いちいち戻らなくてもいいので便利かもしれません。

最近のコメント
最近のトラックバック
カウンター
でこぽんの読書メーター
でこぽんさんの読書メーター
QRコード
QR
CopyRight 2006 でこぽんの読書通信 All rights reserved.
Photo material by <ivory> / Designed by Il mio diario
Powered by FC2BLOG / 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。